【学術トピックス】 プロポリスの免疫作用について

【解説】 東京医科歯科大学・難治疾患研究所・未病制御学 准教授 安達貴弘 先生

 “プロポリス”は、古代から今日まで、特に東ヨーロッパでは、その効能から薬用にも利用されています。プロポリスは、抗酸化作用、抗がん作用、抗菌、抗カビ、抗ウイルス作用、糖尿病、歯周病、さらには、老化予防、肥満予防、花粉症、風邪の予防など、様々な機能があることが知られて、今日、健康食品の一つとして注目されています。我が国の死因の約80%を占める非感染性疾患の原因は慢性炎症で、感染症を含め、免疫の制御が我々の生体恒常性に非常に重要です。プロポリスは、その免疫系に対して、免疫細胞の活性化を抑制、とりわけ抗炎症作用があり、アレルギーを抑制することがよく知られていますが、逆に、免疫系を活性化するアジュバント効果があり、抗体産生を亢進させることも明らかとなっています。さらに最近では、世界中を震撼させた新型コロナウイルス感染に対しても、効果があることも報告されています。

 

 プロポリスの免疫活性化作用について、プロポリスの成分であるアルテピリンCやp-クマール酸がサイトカインの1つであるインターフェロン-γに依存して、自然免疫系を刺激することや、ブラジル産グリーンプロポリスは、アジュバント効果も持ち、特異抗体価を亢進させることや、好中球を活性化することが知られています。我々も、B細胞や樹状細胞についてプロポリスの効果を調べてみると、これら免疫細胞にも直接作用し、刺激していることがわかりました。プロポリスのアジュバント活性についても調べてみると、ワクチンとして免疫を活性化させるアジュバントとしてよく用いられるアルミニウム塩を腹腔に投与した時と同様に、小腸のリンパ組織であるパイエル板では、樹状細胞の動きが活発になり、活性化が誘導されていました。さらに、マウスにプロポリスを給餌して生体イメージングにより解析すると、小腸パイエル板の樹状細胞の活性化の亢進が見られ、プロポリスの継続的な摂取により経口アジュバントとして腸管免疫細胞の活性化に影響を与えていることが示唆されています。つづく

 

 

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