連載①【海外ヘルスケア最前線】 北欧・ノルウェー、ヘルスケア産業を推進する理由とは
新型コロナが世界中で収束する中、海外のヘルスケア市場の成長率は高い。新しいニーズが生まれ、新素材や新商品、新サービスなどが続々登場している。本号より複数回にわたり、欧米を中心としたヘルスケアビジネスに携わり、健康食品事業を手掛ける田中啓之氏(オクトロール㈱・代表取締役社長)が、変化する海外ヘルススケア市場の動向やトレンドなどを紹介する。第1回目は、北欧・ノルウェーにおけるヘルスケア最前線。
北欧に位置するノルウェーでは、子供の頃からサプリメントを摂ることが一般的です。今でも根強い人気を誇る『Möller'sTran』に代表される肝油は、ビタミンAやビタミンDを豊富に含み、ノルウェー人は誰しもが小さい頃に毎日スプーン1杯を飲んだ思い出がある国民食です。ノルウェー語で「くまちゃんグミ」を意味する『Vitaminbjørner』は、一家に1ボトルと言われるぐらい根付いています。不足しがちなビタミン類を手軽に補食できる商品として人気が高く、大人もついつい小腹を満たすために口に入れており、結果一家でビタミン補完の習慣化ができています。
ノルウェーは、冬の長い期間、日中でも薄明か、太陽が沈んだ状態が続く“極夜”を迎え、世界的にも日照時間が短い国として知られています。日光を浴びて体内で生成されるビタミンDなどの栄養素が自ずと不足してしまう地政学的な健康リスクを内包しています。北欧の一角を担い福祉国家として有名なノルウェーでは、医療費負担を軽減するために、国として予防医学分野へも力を入れており、様々な形で民間企業の研究開発サポートを行っています。このように国からのバックアップを得て、民間企業としては安心安全で機能効果の高い製品開発が可能になっています。つづく
【著者プロフィール】
Octoroll株式会社 代表取締役社長 田中啓之氏
2003年住友商事㈱入社以来、一貫して食品・食料関係の業務に従事し、同分野での事業投資や新規開発業務を、アジア・オセアニア各国にて担当。2010年から米国住友商事ポートランド店への駐在経験あり。2018年に在ノルウェーNXTCAP社と合弁でOctroll㈱を立ち上げ、独立。ヘルスケア領域での新規性の高い原料提案を行っている。
詳しくは健康産業新聞1786号(2024.4.17)で
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