【乳酸菌別冊号②】 腸脳相関、ポストバイオティクスに関心

 腸は「第二の脳」とも呼ばれ、独自の神経ネットワークを持つことが近年の研究により明らかになってきた。腸は、脳からの指令がなくても独立して活動することができるといわれている。こうした脳と腸の関係を「脳腸相関」と呼び、年々関心が高まっている。ストレスを感じるとおなかが痛くなり、便意を催すといった現象は、脳が自律神経を介し、腸にストレスの刺激を伝えるためで、反対に腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すとの報告もあるという。

 

 ヤクルト中央研究所によると、「“脳-腸-微生物相関”という言葉も提唱されている」という。また、「胃の負担をやわらげる」旨を表示する機能性表示食品『明治プロビオヨーグルトLG21』を展開する明治では、胃と脳のネットワークについて「最新の研究結果で、胃は単なる消化器官ではなく、脳との関わりが深く全身の健康に関与する可能性が示唆されている」と指摘。胃から脳への情報伝達がなされ、脳に影響を及ぼすことから、胃と脳のネットワーク「胃脳相関」の存在が世界で注目を集めているという。

 

 脳腸相関に関する調査も。腸内環境とストレスが密接に影響していることについて知らないと回答した人が、全体の半数を超える50.8%だったことがわかった。調査は大正製薬が実施した『ストレスと腸活に関する意識調査』によるもの。前述の質問について「知らなかった」が31.8%、「聞いたことはあるがよくは知らない」が19.0%となった。腸は第二の脳といわれ、昨今ストレスとの相互関係について指摘されているが、調査結果では「腸内環境=おなかの不調の改善のイメージが強く、ストレス解消まで結びつきにくいようだ」と分析している。

 

 一方、ここ数年注目を集めているのが“ポストバイオティクス”だ。国際プロバイオティクスおよびプレバイオティクス科学協会(ISAPP)が、「宿主に健康上の利益をもたらす無生物微生物またはその成分の調製物」をポストバイオティクスと定義。これまで欧米を中心にプロバイオティクス(生菌)が主流となっていたが、殺菌菌体や代謝物を指すポストバイオティクスの概念が世界的に広がっている。つづく

 

 

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