特集【オリーブ】 多彩な健康機能で健食も脚光

 オリーブ関連商品は、日常の食生活に広く浸透している。特に、独特な風味や香りを持つオリーブオイルは、様々な料理における活用法に加え、健康効果が知れわたり、利用頻度が増加している。日清オイリオグループの定点調査(「インテージ社SCI-pデータをもとに自社で推計」)によると、2022年度・家庭用食用油市場は1,807億円(前年比108%)で、1位はオリーブオイル(410億円・同比99%)だった。オリーブオイルはここ数年、キャノーラ油と共に400億円台で推移している。しかし、主要産地・スペインなどでの干ばつによる不作や、ロシアのウクライナ侵攻による穀物需給不安の高まりなども影響し、原料価格が高騰。各社、オリーブオイル商品の価格改定を段階的に実施しており、販売量は前年比94%となった。

 

 同社では、「まずは安定供給に努める。その上で、今後の成長のためにも、若年層に対してオリーブオイルの美味しさや使い方、健康機能について、SNSなどを活用して強化していく」としている。オリーブオイルの商品群が増える中、(一社)日本オリーブオイルソムリエ協会では、オリーブオイルに関する資格講座や消費者と生産者・製品を繋ぐイベントなどを開催。同協会の多田俊哉理事長は、「まだまだ良質なオリーブオイルに出会える場所は決して多くない。イベントなどを通じて普及活動と共に、購入できる場所を広げていきたい」と話す。

 

 健食業界では、葉や果肉含まれる有用成分「ヒドロキシチロソール」「オレウロペイン」「ベルバスコシド」「オレアノール酸」「マスリン酸」などに着目した機能性素材が流通する。機能性研究が進み、機能性表示食品の累計受理数は60品を超えた。表示内容は、「オリーブ由来ヒドロキシチロソールは抗酸化作用を持ち、血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を抑制することが報告されています」「マスリン酸は筋肉に軽い負荷がかかる日常的な運動と併用することで、加齢によって衰える筋肉量を維持する機能があることが報告されています」など。昨年はニュートリション・アクトが、「オレアノール酸およびオレウロペインは、身体活動時での脂肪の消費を助けるこで、肥満気味の方の体脂肪の低減に役立つことが報告されています」旨のヘルスクレームで受理された。

 

 一方、昨年6月に消費者庁は、通販メーカー・さくらフォレストの機能性表示食品に対して景品表示法に基づく措置命令を出した。機能性関与成分のDHA・EPA、モノグルコシルヘスペリジン、オリーブ由来ヒドロキシチロソールについて、科学的根拠に疑義あるとして、根拠が同一の機能性表示食品が相次いで撤回された。市場は一時的に混乱を招いたものの、現在は落ち着きを取り戻した様子。新たな受理品も出ている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1782号(2024.2.21)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら