特集【中国地方(山陰・山陽)】 未利用資源活用、機能性研究が進展

 岡山・広島・山口県(瀬戸内海側)の山陽地域は、瀬戸内海に面しており、温暖で降水量が少なく、魚介類や果物の生産が盛んだ。日照時間が長く「晴れの国」と呼ばれる岡山県は、モモやマスカット、トマトなどが全国有数の生産量を誇る。岡山県産の野菜や果物を中心に植物発酵エキスの製造を行う機能性食品研究所やバイオバンクなどは、海外へも植物発酵エキスを輸出している。医薬品を主に、健食受託でも全国区の知名度を誇る備前化成をはじめ、トレハロースやヘスペリジンなどを製造する林原、健食通販大手の山田養蜂場も岡山を代表する企業だ。

 

 瀬戸内海に面した広島県は、寒暖差の激しい気候を生かし、柑橘類の栽培が盛ん。特に瀬戸内レモンは一般食品から健康食品まで幅広く利用が進む。特産品のカキエキスを製造するメーカーも多く、亜鉛・タンパク質を含むオイスターペプチドは、海外から引き合いが多いという。中国エリア最大の都市である広島県下には、機能性食品素材の主要サプライヤーである丸善製薬や池田糖化工業をはじめ、野菜パウダーのこだま食品、健康・美容飲料受託のミリアグループやフジスコ、自然食卸の純正食品マルシマやビバ、植物発酵エキス大手の万田酵素など、全国的に知名度の高い企業が本社を構える。産学連携による機能性研究も盛んだ。広島大学歯学部とキャンパスメディコではオーラルケア向けの独自乳酸菌『L8020乳酸菌』を開発。大学発ベンチャーとして『L8020乳酸菌』の全国展開をしており、26社が参加しヨーグルトや製菓、オーラルケア製品などを製造販売している。

 

 鳥取・島根・山口(日本海側)で形成する山陰は、山陽と比べて寒冷で豪雪地帯も存在する。カニやシジミ、ラッキョウの生産が有名だ。甲陽ケミカルは、地場で摂れるカニの甲羅を活用して機能性素材の研究開発をして久しい。近年は、未利用資源活用の観点からSDGs推進企業としても知られるようになった。受託製造企業では、健康茶のファイナール、粉末加工のヤマノが本社工場を構え、全国の取引先を相手に、一次加工から最終製品の受託製造を請け負う。全国的に知られる健食通販メーカーの八幡物産も米子市に本社を構える。

 

 山陰・山陽にまたがる山口県は、瀬戸内海と日本海に囲まれフグやアマダイ、サザエなどの水揚げが盛んだ。下関市に本社工場を構える林兼産業は、カツオ由来のエラスチンの研究開発を推進。機能性表示食品対応原料としても多くの取引先を抱える。本州最南端に位置し、九州と本州の関所であることから物流の拠点の役割も果たしている。健康食品の充填包装を行うタクスは、プロテインなどの引き合いが増え、健食向けの工場を新設、さらにペットフード工場も竣工した。青汁等の販売で知られる新日配薬品も当地に本社を構える。つづく

 

 

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