特集【錠剤化技術・添加剤】 高機能錠剤のニーズ高まる

 サプリメントの錠剤開発では、使用する原料の物性に応じて、訴求する機能性を最大限発現させる錠剤化技術が不可欠だ。錠剤化技術では、「結合性」と「崩壊性」という相反する品質の両立が要となる。医薬品の場合、錠剤の崩壊性および溶出制御は必須だが、サプリメントにおいても、摂取されるまで形状を保ち、体内での崩壊、および有用成分の体内吸収までを原料の物性別に添加剤を検討する必要がある。

 

 機能性表示食品や健康食品GMPにおいては、サプリメント錠剤の崩壊性が必須となっており、アフターコロナ以降に回復傾向にあるインバウンド需要や海外向け製品開発、機能性表示食品開発において、高機能添加剤への需要が高まっている。受託メーカーや添加剤サプライヤーからは、「崩壊性だけでなく、最終製品の高付加価値化と製造効率化の観点で選ばれるケースがある」「グルコサミンやビタミンE、CoQ10など難成形素材の錠剤化に強い点が評価されている」「インバウンド含む海外からの需要が高まっている」といった声がある。

 

 需要高まる高機能添加剤では、様々な提案が進む。高機能結合剤「セルニー」シリーズを提案する日本曹達では、サプリメント・機能性表示食品用途で、直打用乾式結合剤『セルニーSSL SFP』への需要が高まっている。三菱ケミカルは、米国や欧州向けサプリメントに配合できる新たな滑沢剤『リョートー™シュガーエステル S-470F』を上市。ステアリン酸カルシウムとの比較試験で混合耐性や崩壊時間に有意な安定性の維持を確認済みだ。富士化学工業は、医薬品OD錠用途のノウハウを活用し、食品グレードとして開発した『エフメルトF1®』を提案。サプリメントや機能性表示食品向けに供給量は右肩上がりで推移している。信越化学工業は、グローバルで採用実績を持つサプリメント用添加剤『メトローズ®』が伸びている。「崩壊試験を意識したサプリ開発の採用も増加傾向にある」という。HMPC『SE-06』については、プルランとの併用により、単独よりも高い臭いマスキングコート作用を新たに確認している。

 

 需要拡大を受け、生産能力を増強するサプライヤーもある。日本曹達は、新潟県の二本木工場における生産能力を現状の1.5倍に増強、2026年に操業予定だ。伏見製薬所は、昨秋に製造元の明台化工股份有限公司にて新プラントも本格稼働。加工工程で熱をかけずに加工できる高純度結晶セルロース『Comprecel®(コンプレッセル)』を提案。サプリメントの結合剤や崩壊剤に優れた機能が評価され、「引き合いは伸びている」という。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1781号(2024.2.7)で
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