【話題追跡】 「送料無料」表示の規制見送り、各社情勢に応じて対応

 多くの通販サイトで当たり前となっている送料無料表示。運送業界は、通販サイトに「送料無料」と表示されていることで「消費者が配送や燃料に対してコスト意識が希薄になってしまう恐れがある」などと規制を求めてきた。消費者庁は、製品に消費者向けの送料が適正に転嫁・反映されるべきという観点から、関連団体などと「送料無料」表示に関する意見交換会を実施。9回にわたる会合を経て、法規制は見送ったが、関連事業者等に送料表示の見直しを促すと共に、「事業者の自主的な取組状況を注視していく」と発表した。

 

 表示例としては、「○○円(送料込み)」などの表示、もしくは「送料無料」表示をする際は、「無料」とする理由や仕組みを分かりやすく説明することなどを挙げた。これを受けた対応について通販各社に取材したところ、「メーカー側は、商品設計時に送料を含めて価格に反映している。送料無料は、販売側が持つから物流側には迷惑は掛からない」「2024年問題と送料無料は別問題。送料無料にしたから、2024年問題が起きたのではない。配送にコストがかかるのは消費者もわかっている」「消費にブレーキがかかってしまう」などの声が聞かれた。

 

 一方で、「『送料無料』という表示にしたとたん、どこがコストを持つかの構造になりダンピングの引き金になる可能性もある」ことを懸念する企業も。「商品の配送にはコストが掛かり、そのコストはお客様が負担していることを通販業界からも積極的に情報開示することは必要だと考えている」と理解を示す声も挙がる。「物流業界が送料無料の表記で生じる再配達等によるコストアップの負担も最終的にお客様が負担する構造を明らかにする活動が必要なのでは。コスト問題にフォーカスした議論に終始しており、環境負荷に関する議論がなされていない点も懸念している」という意見も出た。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1781号(2024.2.7)で
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