特集【霊芝】 海外ニーズ高まる日本霊芝

 霊芝は、サルノコシカケ科に属するキノコで、乾燥させると傘、柄を含めた子実体は、そのままの形で長期保存できるために万年茸(マンネンタケ)とも呼ばれる。国内では、信越、北関東を中心に北海道、近畿、九州などで栽培され、国内生産量は30t前後と推測される。海外原料では、中国、台湾、韓国産などが流通する。主な原料・OEMサプライヤーは、チハヤ、たるほ産業、リンクス、和漢生薬研究所、北海道霊芝、パワフル健康食品、ナガセビューティケアなど。各社、種菌の種類、産地、栽培法、抽出法などで差別化を図る。新たな動きでは、チハヤがパートナー企業と共同で「霊芝の栽培方法」に関する特許を取得し、『特許霊芝滅菌末』の供給を開始した。

 

 海外でファンクショナルマッシュルームの利用が広がる中、日本の栽培・加工技術や品質力に対する信頼度は高く、“日本産霊芝(Reishi)”は海外でも人気だ。事業者からは、「カナダは、コロナ収束後も免疫に対する関心が高く、堅調に推移する」「体感の高さに加え、希少性や高級イメージがあり、国産原料への問合せは一定してある」「台湾から引き合いがある」「ペット向けも含めて海外輸出は伸びている」など、明るいコメントが多数聞かれた。また、「免税対応店での販売量が昨年後半から回復している」「春節に向けた商談が進んでいる」など、インバウンド需要の回復に手応えを感じる声も目立った。

 

 近年は、事業者による機能性表示食品の開発に向けた研究活動もみられる。霊芝の機能性研究に従事する九州大学農学研究院の清水邦義氏は、「霊芝は、β-グルカンをはじめとした多糖類に加え、多種多様の薬効成分(トリテルペノイド類)を含有する。届出を行う場合には、そこの部分が足枷となる可能性もある。機能性関与成分の合理的な選定が必要になる」と話す。一方、「エビデンスデータの蓄積が進めば、機能性表示食品の受理の可能性は十分にある。例えば、健常者を対象に男性の排尿障害に関するヒト臨床試験の知見が蓄積されている。市場ニーズは高くチャレンジして貰いたい」と、事業者の今後の取り組みに期待を寄せる。つづく

 

 

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