特集【ヒアルロン酸Na】 アフターコロナ、美肌ニーズ回復

 美容素材として確固たる地位を築くヒアルロン酸。本紙が昨年12月に化粧品受託製造企業を対象に実施した2023年下半期人気素材アンケートでは、第5位にヒアルロン酸がランクイン、今年の上半期人気素材予想のランキングでは4位と、底堅い人気を誇る。人気の要因は抜群の認知度。大手化粧品メーカーや健康食品メーカーが長年商品を展開しており、その高い保湿力も折り紙付き。他の保湿訴求素材と比較し、プレミアムなイメージも強く、高価格帯の商品へ配合されるケースも多い。

 

 パルファン・クリスチャン・ディオールは昨年11月より、美容医療のヒアルロン酸注入のような効果が、セルフケアで期待できる部分美容液『カプチュール トータル ヒアルショット』を発売した。継続的にヒアルロン酸の補充をコントロールすることができる設計で、特許取得の2種類のヒアルロン酸複合体を配合している。指よりも高い精度を誇る極細のアプリケーターが、ほうれい線や目尻の小ジワなど、狙った部分にピンポイントで塗布できるのが特長。アフターコロナに入り、各社こうした商品開発が活発化しており、ヒアルロン酸への引き合いも強くなってきている。

 

 一方、食品用途も堅調だ。原料サプライヤー各社の聞き取りでは、機能性表示食品以外の商品への配合も増加傾向にあるという。ヒアルロン酸原料トップサプライヤーのキユーピーファインケミカル本部では、「国内では一般食品への採用が多いほか、ここ数年は力を入れている海外への展開も進んでいる」という。同社では米国市場での展開を睨み、早くから展示会イベントなどに積極的に参加してきたが、美容用途でニーズが急増しているようだ。このほか、台湾や欧州でのニーズも増えており、海外市場の開拓を積極化していく企業も多い。

 

 機能性表示食品として「肌の保湿」をテーマに、2015年にキユーピーがいち早く受理すると、以降受理品は増加。現在、ヒアルロン酸Naを関与成分とした受理数は88品を数える(昨年12月20日時点)。ここ数年受理品の増加率は緩やかながらも「新たに機能性表示食品の届出を検討している企業からの問い合わせも多い」(原料メーカー)など、マスクトラブル対策などを引き合いに再び脚光を浴びつつあるようだ。「保湿機能」の機能性表示食品登場で盛り上がるヒアルロン酸だが、関節痛改善の作用としての期待も大きい。

 

 キユーピーが新たに「膝関節の違和感の軽減」などを訴求する機能性表示食品の届出に向け、準備を進める。一般市民ランナー56人を対象に実施した摂取試験で、膝の「痛み」や「こわばり」「違和感」が摂取12週間後に有意に改善したことがわかった。研究成果を受け同社では、膝関節へアプローチする機能性表示食品として、早期の届出受理を目指す。新たな表示が実現すれば、より幅広いニーズに対応できるとして期待が寄せられている。つづく

 

 

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