特集【食品受託試験/機能性表示支援】 試験の専門化・高度化進む

 機能性表示食品は制度開始9年目に突入し、12月現在で受理総数(撤回分を除く)6,863品と7,000品に迫る勢いだ。昨年12月からの1年間で1,377品が届出受理された。今年後半はガイドライン改正の影響や、「素材情報データベース」停止の影響で減速したものの2022年の617品から倍増した。機能性表示食品を摂取する機会が増える中で機能性と共に最も重要なのが安全性だ。これまで、機能性表示食品の届出の際、大半の企業が国立栄研の「素材情報データベース」を引用してきた。

 

 ところが、今年3月30日、国立栄研の「素材情報データベース」の利用を休止すると発表。機能性表示食品の安全性の根拠を担うデータベースが突如停止したことで、業界内は混乱に陥った。国立栄研の発表によると、「素材情報データベース」の「安全性情報」は、米国の「Natural Medicines」データベースの引用で、契約の範囲を超えていることが発覚したためという。実際の影響も出ている。今年10月以降の届出で、国立栄研のデータベースを使用したために差し戻しとなった事例が出ており、月あたり届出数が前年比を下回る月が続いた。

 

 こうした中、CROや届出サポート企業の間で、今後の安全性情報の作成についての議論がされるようになった。今後の安全性情報の作成については、いくつかの方法が考えられる。1つ目は「Natural Medicines」データベース(以下、NMDB)を利用する方法。国内でNMDBの権利を管理している(一社)日本健康食品・サプリメント情報センターによると「年内にも利用体系を告知する方針だ」という。2つ目のパターンは「JDreamⅢ」「PubMed」といった、他のデータベースを利用する方法がある。データベース利用の代わりに実際の試験を検討する動きも起きている。CROからは、「安全性は実物で確認することが最も確実」という意見が出るなど積極的な姿勢をみせている。

 

 機能性表示食品の届出が活発化する中、ヒト試験実施のペースは多くのCROで横ばいから好調だった。UMIN登録によると食品の臨床試験数は2020年に452件、2021年に541件、2022年580件と増加傾向で、2023年はピークであった2018年の627件の水準に近づきそうだ。今回の取材で食品CROの関係者からは「血糖」「脂質」といった生活習慣病関連や、「腸内環境」「免疫」「睡眠」領域の試験が活発であるほか、「認知機能」等、高齢者向けの試験依頼が多いという声が聞かれた。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1778号(2023.12.20)で
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