【九州・健康産業キーマンに聞く】 多彩な九州産キノコ、今後に期待

 九州大学農学研究院の清水邦義氏は、機能性表示食品を目指す企業を支援する「目利き調査事業」(福岡バイオコミュニティ推進会議)に長年携わる。同氏に同事業の取り組み状況などについて話を聞いた。

 

──機能性表示食品の開発における変化について

 これまで着目していなかった素材や、未利用素材(食品残渣)など、アップサイクルという視点での機能性表示食品の開発に取り組む事業者が増えています。そのような中で、素材や機能性関与成分の多様化が起こり、それらの規格をいかに明確にするかという、技術的な困難さに直面することも少なくないです。同時に、機能性表示食品の開発が新しいステージに入ったことを実感します。また、これまであまり意識していなかった届出後の事後チェックの重要性いついて、事業者が再認識するようになっています。

 

 新たな動きでは、ガイドライン改正により、システマティックレビューの作成について、国際指針「PRISMA声明(2020)」年版への準拠となりました。今後、届出の根拠論文としての臨床試験の質が求められる中、産業上の活性化を目指すために、「エビデンスの質」と「機能性表示食品ビジネス」の両輪をいかに達成させるか。知恵の見せ所だと考えます。そして、素材の多様性に対応する、多種多様な成分の分析方法の開発と、商品規格の質のモニタリングという、「素材の質」についても、ますます注意が払われるようになることが予想され、基礎研究の発展が、機能性表示食品の発展に不可欠になると考えられます。

 

 機能性表示食品の届出件数の増加に伴い、本制度は消費者、事業者にとっても身近になりました。勉強会・講演会も全国各地で開催され、多くの事業者がチャレンジする機運は、引き続き、高まっていくことでしょう。こうした中、これまで以上に事業者自らが機能性表示食品の制度と動向を学び続ける姿勢が重要になると言えます。

 

──九州発の注目健康素材は

 九州発の注目健康素材は、気候変動や災害に強く、室内栽培が可能なキノコ類に注目しています。エノキタケ、ヌメリスギタケ(博多スギタケ)、ヤマブシタケ、霊芝などは、それぞれの素材独自の特有成分を機能性関与成分とした機能性表示食品の開発が期待されます。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1776号別冊『九州~健康・美容産業~』(2023.11.15)で
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