【話題追跡】 物流「2024年問題」、健食への影響は?

 日本の物流は今、大きな転換期を迎えている。政府は働き方改革関連法に基づき、自動車運転業務における時間外労働の上限を年間960時間までに定めた。これに対し、労働時間の短縮によるドライバー1人当たりの走行距離短縮でモノが運べなくなるといった、いわゆる「2024問題」が浮上。経産省等による検討会では、営業用トラックの輸送能力は2024年に14.2%、2025年には34.1%不足すると試算した。何も対策を打たないと、「必要な時に必要なものが届かない」「輸送を断られる」などの可能性を示唆した。

 

 2024年問題の対策について、健康食品メーカーでは歩み寄りの姿勢がみられる。大手通販メーカーからは、「運送会社の常駐スタッフが行っていた仕分け作業を当社スタッフが請け負うなどし、運送会社の負担や運賃を削減した」との声が。再配達を減らす取り組みでは、「ポストインで届けるメール便やコンビニ・宅配ボックスなどの自宅外受け取りの導入のほか、今後は置き配サービスの導入も検討したい」という。このほか、自社トラックの活用も。「万一運送会社がドライバー不足に陥り、当社荷物の集荷に影響が出た場合は、自社トラックで持ち込むリスクヘッジも視野に入れている」という。他の健食メーカーからは、「コンプライアンス教育の実施(ドライバーとのコミュニケーションアップや優越的地位乱用防止の教育)」など、社内の教育強化を挙げる声もあった。

 

 この2024年問題は「送料無料」表示の見直しにも議論が及んでいる。消費者庁は6月、配送料金が送料に適正に転嫁・反映されるべきとの考えのもと、第一回目の意見交換会を開催。「送料の負担先がどこにあるのか明確にすべき」との意見があった。この件について、取材先からは賛同する声があった一方、「新規顧客の購入機会減少」「リアル店舗への顧客流出」を懸念する声も。健食を得意とする物流企業からは、「バラ積み・バラ降ろしは極力レンタルパレットを活用することで作業スピードの短縮を図る」「バース予約管理システム導入による待機時間の短縮」などの対策を講じているという。また、トラック1台で通常の大型トラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラックを利用する」との対策も。国土交通省は昨年11月、この対象路線を拡大しており、課題解決に向けた動きを加速している。つづく

 

 

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