特集【フェムケア・フェムテック】 リアル店舗に拡大、市場活況

 「フェムケア・フェムテック」は、政府も社会・経済の両面から重視し、各省庁による事業が進んでいる。6月5日に発表された「女性版骨太の方針」(原案)では、「フェムテックの利活用、生理休暇制度の普及促進」が明記された。経済産業省では「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」事業を実施。6月に、AIサービス、ヘルスリテラシー向上、生理用品の設置事業などが採択された。政府の推進事業が呼び水になり、健康食品、化粧品業界でもこの数年で市場形成が進んでいる。

 

 この1年での大きな変化は、従来のEC販売に加え、製品の売場がより広がったこと。ファストファッションのGUや、家電量販店のビックカメラ、量販店のイオンリテールが専門の売場を設けている。イオンリテールによると、6月現在、全国255店舗に専門売場を設け、前年同月の160店舗から拡大。PB品はじめ更年期向けサプリが好調だという。一方、ドラッグストア等で妊活向けゼリー等を展開する販売メーカーからは、「妊娠を望む女性に提案したいのに、避妊具の商品棚等、希望と異なる売場に配置される」という声もあり、売場の工夫も求められる。

 

 現在、サプリメント分野で販売されている主な製品は、生理・PMS、妊娠、更年期、冷え症・温活、貧血・骨粗鬆症対策など。妊活や更年期の女性向けを訴求するプロテインも売上を伸ばしている。フェムケア・フェムテック分野に活用されている健食素材は、大豆イソフラボン、エクオール、ローヤルゼリー、米胚芽、マカ、麹抽出物、ザクロ、クランベリー、乳酸菌、ケラチン、植物性オイル、松樹皮エキス、葉酸――など多様。

 

 化粧品では、デリケートゾーンケア専用のソープ等が続々と上市されているほか、欧米ブランドの輸入も盛んとなっている。本紙が5〜6月に掛けて化粧品受託製造企業を対象に行った調査(有効回答117社)では、32.7%の企業がフェムテック関連製品について、「受注が増えている」と回答。受注が増えているアイテム(複数回答)は、デリケートゾーンケア(36票)が最も多く、スキンケア(11票)、ヘアケア(3票)となった。今後の展望について「市場は拡大する」との回答は55.5%と半数を超え、「女性の意識が高まっている」「必要性が認識されつつある」などの回答が見られた。

 

 来年2月20〜22日の「健康博覧会2024」会場内では「ジェンダード・イノベーションEXPO」を実施。女性ヘルスケア業界情報を発信する「ウーマンズ」と健康博覧会がコラボする。ウーマンズ代表の阿部エリナ氏は、「これからの女性ヘルスケア分野は、教育等との連携、コラボの必要性が高まっていく」と、普及啓発の重要性を話している。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1768号(2023.7.19)で
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