特集【NMN】 エビデンスの蓄積進む
抗老化成分として圧倒的な人気を集めるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)。市場では、NMNを配合したサプリメントやドリンクからフェイスマスクや美容液まで様々な製品が流通。健康食品、化粧品の人気素材となっている。本紙が5~6月に健康食品受託製造企業(有効回答133社)および、化粧品受託製造企業(同117社)を対象に実施した調査では、今年上期の人気受注素材としてNMNが、健食では2位、化粧品では7位となり、3年連続でトップ10入りを果たした。
NMNは体内に入ると、NAD+に変換される。NAD+は、サーチュイン遺伝子に働き掛け、サーチュイン酵素を活発化させる。このサーチュイン酵素が働くことで老化によって乱れたDNAの修復を行うというメカニズムとなっている。東京MITクリニック理事長の宇野克明氏は、「近年明らかになった“エピゲノム”構造に生じる遺伝情報のエラーにNMNは対処している。NAD+により活性化したサーチュイン酵素が脱アセチル化作用を発揮し、DNA再凝縮と遺伝情報のエラー修復を担う。つまり、脱アセチル化こそが、NMNの抗老化のポイントだ」と話す。
米国や中国でエイジングケアの金字塔として人気のNMNは、ここ数年、日本でも富裕層を中心に需要が高まっている。ところが、ここに来て業界に衝撃が走る出来事が。昨年10月、米国FDAが製薬会社の要請を受け、NMNを食品ではなく、医薬品にする方針を示したのだ。米国のサプリメント業界団体は、この方針に猛反発しているものの、米国AmazonがNMNサプリメントの販売中止を発表。現在も販売を続けている企業は見られるが、先行きは不透明だ。
特に、NMNの一大生産拠点である中国メーカーにとって、米国は最も大きな市場だけに、その影響は計り知れない。こうした中、日本やヨーロッパ、アセアン市場に、原料提案を強化する動きも見られ、中国産原料価格の動向が注目される。受託企業や販売メーカーへの取材では、「FDAが医薬品に認めたということは、それだけ効果のある物質だったと注目している」「日本でもいずれ医薬品になるかも知れないとの考えから、駆け込み需要が増えている」などの声が聞かれた。一方で、日本では食薬区分改正で一度食品になったものが、再び医薬品になる確率は低いとされている。つづく
詳しくは健康産業新聞1766号(2023.6.21)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら