特集【食品受託試験/機能性表示支援】 多様化する試験ニーズに「食品CRO」活躍
機能性表示食品の普及と共に、健康食品はエビデンスの重要性が増している。機能性表示食品の届出を行わない場合にもヒト試験を行い、企業間取り引きで役立てる例も増えている。企業間のプレゼンの場でも、エビデンスがあると商談が有利に進みやすいと言う。こうした目的には10人等の小規模試験が行われることが多い。
一方で、ヘルスクレームの競争も激化する。近年では、より独自性の高い表示での届出を目指す企業が増え、独自のヘルスクレームを想定したヒト試験をデザインし、クリニックあるいは大学等研究機関と共同でエビデンス構築を行うケースも増えている。クリニックや大学との連携を積極的に進めるCROも増えている。試験の目的が多用化する中、ITの導入やリモート試験は、当初は新型コロナ感染症対策を目的としていたが、今では効率化や大規模調査実施のために活用される例も増えている。
CRO関係者によると、ヒト試験の市場規模は、「70億円程度」。また、民間調査によると、食品CRO、アカデミア、医療機関、メーカー等まで合わせて約110億円とも言われる。依頼が多い試験分野は、「血糖」「脂質」のほか「美肌・エイジングケア」「認知機能」「抗疲労・ストレス」「ロコモ・フレイル」「膝関節」などを挙げる回答が多く、社会不安によるストレスや高齢化の影響を反映する結果となった。試験依頼が多い素材はGABA、乳酸菌を挙げるCROが多く、「NMNの試験実施の相談が増えている」という声も聞かれた。
試験の実施費用は、条件が様々であり、一概には言えないものの、複数のCROの例によると、被験者10人程度、小規模の試験で「認知機能」では、概ね200万円以上、採血検査のある「血糖」では概ね250万円以上。機能性表示食品の届出を目指す場合は、被験者の人数を80人、100人等に増やして実施するため、小規模試験の5倍以上となることも多い。つづく
詳しくは健康産業新聞1764号(2023.5.17)で
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