ZOOM UP【馬の油】 馬油製品市場にフォローの風

 馬食文化のある福岡県や熊本県の伝統的なご当地コスメとして、土産物の代表格の1つだった馬油製品。ここ数年で馬油製品は、ご当地コスメから自然派コスメとして認知され、様々な分野で再び注目を集めている。なかでも馬油製品のニーズを引き上げる契機となったのが、コロナ禍でのマスクやアルコール消毒剤の常用に伴う肌荒れ、手荒れケア分野だ。馬油は不飽和脂肪酸の含有量が59~65%と高く、n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸をバランス良く含み、ヒトの皮下脂質に近いことから皮膚への浸透性が抜群に高い点を特長とする。同じくコロナ禍でブームとなった韓国コスメのCICA(ツボクサエキス)を配合した製品を投入する販売会社も見られるなど、肌荒れに有効なスキンケアとして、一定の評価を獲得した。

 

 また肌馴染みの良い馬油製品は、乳幼児のスキンケアにも有効なことから、メーカーや販売会社では、ベビー用馬油製品の開発や販売促進を強化。今では、大手ベビー用品店のアカチャンホンポや西松屋でも馬油製品を販売している。ペット市場の開拓も進む。犬猫の毛や地肌に優しいシャンプー類、肉球ケア用のクリーム等が人気という。さらに、馬油製品にとって追い風となりつつあるのが、女性特有の悩みを解決する製品・サービスを指す「フェムテック/フェムケア」市場の開花だ。古くから産後妊婦の妊娠線のケアに用いられてきた馬油製品も、このフェムケア分野にマッチする。既に、皮膚への浸透性や保湿力の高さを活かし、デリケートゾーンケアとして馬油製品をアピールする企業も増加している。他にも馬油製品は、食用馬肉の未利用資源である馬脂を原材料としたアップサイクル製品である点が、話題のSDGsにも対応している。馬脂を搾る際に出る馬肉片やスジを用いた食品開発を推進するメーカーも見られる。

 

 コロナ禍が収束に向かう中、昨年10月に外国人観光客の入国規制が大幅に緩和されて以降、多くの外国人観光客が来日している。有名な観光地はどこも外国人で溢れ、百貨店や土産物屋の売上は軒並み回復基調が見られる。こうした中、馬油製品のインバウンド需要も回復基調にある。現在は韓国人の観光客が馬油製品を購入しているとのことだが、今後、購買力の高い中国人の団体観光客の入国が再開すれば、円安で日本製品のお買い得感が高まっている中、さらなる売れ行きの拡大にも期待される。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1762号(2023.4.19)で
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