ZOOM UP【鮫肝油】 漁場開拓が実り、輸入量は安定維持

 鮫肝油は、その多くを海外から調達している。昨年の輸入量は約1,300tで前年(約1,600t)より減少したが、原料サプライヤーによる数量調整が影響しているようだ。近年は、アフリカ、中東諸国など、原料サプライヤーによる新たな漁場の開拓が実り、鮫の捕獲量は安定しており、需要に十分対応できる状況にある。

 

 健食向け原料は、鮫肝油からスクワレンを抽出・精製した高純度の原料や、スクワレン以外のジアシルグリセリルエーテルなど特定の有用成分だけを抽出した原料、またスクワレンのみならず肝油に含まれる全ての有用成分を生かした製造法による生肝油タイプなどがある。各社からは、「インバウンド消失によりドラッグストア向けの供給量は鈍化したが、昨年後半から注文が戻りつつある」「コロナ禍でも通販向けは伸びている」「化粧品原料(スクワラン)も既存顧客を中心に堅調」などの声が聞かれた。

 

 原料相場はスクワレンがキロ当たり4,000円台から6,000円。スクワランが3,500円台から5,000円前後。原料価格も安定しているが、「円安進行の状況が気になる」といった声もあり、引き続き、新規漁場の開拓を進める事業者もみられる。このほか、各社、フィルタリング強化や、水銀などの重金属濃度、ダイオキシン類濃度の自社基準を設けるなど、安全性、品質管理体制を徹底して取り組む。また、世界中で自国領域での資源保護の動きが強まる中、年間鮫捕獲量の上限を設定するなど、漁師達と連携強化を図る動きも目立つ。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1740号(2022.5.16)で
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