2016年8月31日
越境EC本格始動、海外進出より身近に 中小・地方の活性化に向け補助金交付も

今年から本格的に動き始めた越境EC市場。その背景には円建て決済システムの充実など、環境整備が進んだことがある。健食・化粧品分野では大手を中心にすでに動き始めているが、中小企業・地方経済の活性化にどこまで寄与できるかはこれからの課題だ。中小機構も補助金交付を始めている。越境EC市場の動きを追った。


◆健食でも越境EC進出はじまる

インターネットを利用して海外の消費者に直接商品を販売できる越境EC。集客、物流、決済のすべてが日本国内で完結するため、業務負担が少なく、海外進出の新しい方法としても注目されている。

一般メディアでは中国の大手ネット通販モールである『天猫国際(T-Mall)や『京東(JD)』が話題に上る。健食業界においても、「今秋から来年初めを目標に大手数社が(モール進出の)準備を進めている」(越境ECサポート企業幹部)という。ある化粧品メーカー(JASDAQ上場)は、T-Mallで2 店舗を運営しており「11月11日(独身の日)商戦に向けた準備に忙しい」(同社役員)という。毎年11・11には中国で爆発的な売上がある。一部に「売上は大きいが、利益は少ない」との声もあるが、同社役員によれば、「利益は意外と確保できる。売上だけにとらわれない価格設定が重要」という。


◆モール出店か、自社サイト構築か

上記の例はいずれもモールへの「出店」であるが、モールに「出品」するという方法もある。モール内に自社店舗を出すのが出店、共同店舗に棚を借りるのが出品だ。モール自体への集客が確保されているのは利点だが、出店のための保証金や、多くの競合品の中で埋もれないための広告費などは安くはない。大手でも読みを間違えれば失敗する例もあり、中小企業の場合にはなおのこと、事前の情報収集や計画を確実にする必要がある。

一方、モール以外の選択肢としては、自社サイト構築という方法がある。「今月からマルコメの台湾向けECサイトが稼働する」(関係者)など、大手も自社サイト方式を採用するところが出てきた。

自社サイト方式では、まず外国語対応のサイトを作り、そこへ集客し、決済する、ということになる。今年に入り、海外のブロガーやリスティング広告を利用した集客サービスが充実し、決済も現地消費者との間で円建てでできるようになっている。モールへの出店に比べると、サイト構築にかかる初期投資が低いため、その分を追加の広告費に充当できるという利点があるが、集客はゼロから行う必要がある。


◆インターネットに国境はない

モールを活用するにしても、自社サイトを構築するにしても、それぞれにメリットとリスクがあるが、海外進出への障壁が下がっていることは確かだ。インターネットそのものには国境はなく、「まずは販売してみて、反応のよい市場で本格進出する」といった、テストマーケティングの手法としても注目されている。

物流コストが比較的安く、日本商品としての強みを活かせる市場としては、中国、台湾、東南アジアが有力市場だ。越境ECサポート各社は円建て決済のほか、サイト上の言語や現地からの問い合わせ、海外発送、通関手続きにも対応しており、「業務上の負担は最小限に抑えられる」という。


◆中小企業・地方経済の活性化に有効

現在、中小企業基盤整備機構(中小機構)は、「海外への販路開拓を促し、我が国経済の活性化を図る」として、中小企業の越境EC新規参入に対して、上限100万円の補助金を交付している。今月31日からは第二次募集が始まる予定で、越境EC参加への大きなチャンスとなっている。

メーカーにとっては海外で商品を直接販売できるチャンスであり、販社にとっては、自らの商圏を海外へ拡大するチャンスでもある。また地方経済にとっては、特産品などを海外にアピールできるチャンスだ。いままでのように、海外だからといって特別に構える必要はなく、通常の国内業務に大きな負担をかけることもない。

中小機構は、補助金の交付に加えて、全国でセミナー等の情報発信を行っている。先月25日、都内で開催された「越境ECフェスティバル」では、来場者が会場を埋め尽くす盛況ぶりで、「全国で繰り返し開催しているが、毎回来場者が目に見えて増えている」(関係者)という。

越境ECサポート企業にとっても、中小企業や地方経済の海外進出で成功例を作ることは、動き始めたばかりの越境EC市場のなかで立場を確立することにつながる。中には、「地方経済と組む案件であれば、無料でサポートしたい」との企業もある。


◆越境EC市場 2020年が一つの指標

越境EC市場が本格的に始動し始めたのは、「今年に入ってから」で、その背景には、円建て決済システムや集客支援システムが相次いでリリースされていることがある。関係者によれば、「昨年までは情報収集ベースでの相談が多かったが、今年に入ってから実際に始めてみようという相談が増えている」という。

今後、この市場がどこまで成長するかは未知数で、「ひとつの指標として、2020年でどこまで出揃っているか」との見方もある。「軌道に乗るための時間を2 ・3年と考えた場合、今年から来年にかけての進出が鍵となる」という。





健康産業新聞第1602号(2016.8.17)より一部抜粋
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