2016年8月12日
【食系店舗】2016上半期総括と下半期展望 スーパーフード、植物油が市場牽引

2015年度の食系は、市場規模800億円を超え(本紙調べ)、ここ数年の減速傾向から久々の回復を見せた。その回復要因として、“スーパーフード”ブームや訪日外国人の“爆買い”などがあった。このままV字回復といきたいところだが、食系卸や店舗では、2016年は、「横ばい」もしくは「微増」との回答が7割近くにのぼるなど、慎重な回答だった。

ただ近年は、食系チャネルも多様化をみせ、従来の専門店や百貨店だけでなく、一般スーパーやGMS、コンビニ、バラエティショップと広がり、さらには食品とは関連性のない家電量販店、雑貨、アパレルショップといった異業種にも販路を拡大し、新たなニーズの掘り起しを図る動きも見られる。さらには、消費者の健康志向の高まりから、オーガニックやグルテンフリーなどに特化した新業態店舗も続々オープンするなど、食系業界は変化をみせつつある。





■訪日外国人の爆買いは続くか?

決算が3 月期の企業も多く、改めて2015年度の食系市場規模調査を実施した。自然食卸や主要店舗など十数社にアンケートならびに聞き取り調査を行ったところ、食系の市場規模は805億円となった。2009年から減少が続いている中で、いくつかの諸要因も重なり回復を見せた。

回復の要因となったのが、「スーパーフード」ブームと訪日外国人による「爆買い」だ。ただここにきて、爆買いの筆頭国だった中国では、政府が海外での購入品に対し課税を強化するなどの規制を強めていることから、今後の爆買い特需の落ち込みを不安視する声も囁かれ始めた。実際、日本百貨店協会が月次発表している「外国人観光客の売上高と来店動向」をみると、昨年5 月の売上前年比は407.1%だったが、今年5 月では83.4%と激減。同様に購買客数でも昨年5 月の前年比376.5%に比べ、今年は112.7%にとどまっている。一方で、爆買いの減速は高額なブランド品などへの影響が強く、客単価の低い食品などには影響がないとするデータもある。百貨店協会の統計データでは、化粧品や食品などの「消耗品」の売上は好調で、1 ~ 5 月は約236億円、前年同期比で約190%と伸張した。百貨店以外の、例えばスーパーマーケットやコンビニなどの動向は、関連団体に統計データがないため比較できなかった。ただ、ドラッグストアなど薬系ルートでは爆買い動向が減速しているとの報告もあり、いずれにせよ、売り上げに大きな影響を及ぼす訪日外国人の爆買い動向には注視する必要はありそうだ。





■スーパーフード、植物油が伸張

昨年が“スーパーフード元年”といわれたように、スーパーフードはテレビや雑誌などで連日のように取り上げられ、食系チャネルでも賑わいを見せている。商材も様々で、ココナッツオイルが火付け役となり、チアシードやアサイー、ヘンプ、キヌア、アマランサスなど種類をあげると枚挙にいとまがない。今年に入ってからはタイガーナッツが大きく取り上げられるなど、新しい素材も続々と日本に入ってきている。


スーパーフードとは、日本スーパーフード協会によれば、①栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品、あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品、②一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつもの、と定義されている。

このように、汎用性が高く、栄養価にも優れている食材であることから、百貨店やスーパー、コンビニなど幅広い食系チャネルで販売され、手軽に購入できる点もブームの要因になった。スーパーフードに関連して、昨年は植物オイル、特にオメガ脂肪酸を含むオイルが好調だった。2014年に爆発的にヒットしたココナッツオイルはすでに落ち着いたが、代わってエゴマやアマニオイルが伸長。また、これらのオイルを使ったマヨネーズやドレッシングなどの商品開発も進み、差別化商材として棚に並ぶ。今回、食系卸を中心に行ったアンケート調査では、多くの企業がエゴマやアマニオイルを売れ筋商品の上位に挙げた。食系卸大手の創健社では、昨年度のエゴマやココナッツオイルなど「油脂・乳製品」の売上高が前年比で39%増加したといい、同社は「昨年は全体的に伸びたが、中でも油脂・乳製品が好調で牽引役になった」とした。

これまでスーパーフードは、主に飲料やスムージー、菓子などに使われていたが、現在は加工用途も広がり、様々な製品に採用されている。例えばスーパーフードとして定着したチアシードでは、粒だけでなく粉末を扱うサプライヤーも増え、グルテンフリー素材としてパンや麺の生地に練りこむなど、新たな商品開発の提案も進んでいる。





■欧州のオーガニック小型SMが日本初上陸

昨今、消費者の健康志向や食に対する安心・安全への意識が高まるなか、新たな業態の店舗が増えている。ダイエーは、店舗事業の中で、“食”に特化した新業態「フードスタイルストア」と「都市型スーパーマーケット」の2 つを柱に事業を推進。特に、フードスタイルストア事業では、専門性の高い商品を扱う「ボタニカルショップ」を展開。“植物が持つパワーを日々のくらしにプラスしよう”をコンセプトに、身体も心も健康になるライフスタイルの提案が狙いで、①スーパーフード、②マクロビオティック、③オーガニック、④アレルゲンフリーに関連する食品、化粧品、雑貨などボタニカル商品を取り揃え、独自性を打ち出す。現在は「ダイエーいちかわコルトンプラザ店」(千葉県市川市)、「ダイエー赤羽店」(東京都北区)、「ダイエー神戸三宮店」(兵庫県神戸市)の3 店舗で展開しているが、同社によれば、「運営する全国182店舗のうち、条件が合えば随時、新業態店舗へのリニューアルをかけていく方針」としている。

また、近畿や関東を中心に256店舗のスーパーマーケットチェーンを運営するライフコーポレーションが、大阪・西区にある既存店を改装し、オーガニックに特化した新業態店舗「BIO-RAL(ビオラル)靭店」としてリニューアルオープンした。同店は、①オーガニック(有機)、②ローカル(地元・地域)、③ヘルシー(健康)、④サスティナビリティ(持続可能性)をキーワードに、生鮮品、惣菜、日配食品、加工食品、生活関連品など「安心、トレンド、高質」にこだわった商品を取り揃えている。

さらにイオンがこの度、欧州でオーガニック小型SM事業を展開するBio c’Bon社(ビオセボン)を傘下に持つMarne & Finance Europe社と事業提携し、合弁会社「ビオセボン・ジャポン」を設立。現在は用地候補を選定中で、年内には、首都圏にオーガニックに特化したスーパーマーケット「Bio c' Bon(ビオセボン)」の1 号店をオープンする予定だ。


最近では、“買い物難民”が問題になりつつある。徒歩圏内にあるスーパーが廃業したため、車を持たないシニア層を中心に買い物ができない人たちが増えているのだ。そうした背景もあり、近年は生鮮や加工食品などの宅配事業や移動型スーパーマーケット事業が注目されている。有機・特別栽培野菜などのネット宅配事業を展開するオイシックスはこの度、「移動型スーパーマーケット」の支援事業を手掛ける「とくし丸」の株式を取得し連結子会社とした。2012年創業のとくし丸は、フランチャイズ方式による「移動型スーパーマーケット」の仕組みを提供する事業を展開。全国のスーパーマーケットと提携し、商品を積み込んだ移動車両でシニアや買い物難民と言われる消費者の自宅や居住地域に訪問し、商品を販売する。現在、27都道府県、53社のスーパーマーケットと提携し、年間流通金額が約15億円と、年率で300%の成長をみせている。オイシックスは、とくし丸買収の経緯について「当社の現状は販売チャネルがインターネットによる30、40代女性が中心のため、地域のシニアや買い物難民へリーチできるとくし丸社の強みを生かすため」とした。オイシックス社は、3 年後にはとくし丸社の年間流通金額100億円を目指すとしている。





■異業種とのコラボに活路

新業態店舗が続々オープンする中で、食系チャネルも多様化をみせる。これまでの健康・自然食品の主要チャネルだった百貨店は、フロアリニューアルに伴い売り場面積を縮小するなど健康食品に対する位置づけを変更。また、健康・自然食専門店などは、売上減やオーナーの高齢化、後継者不足などの理由から廃業する店舗も年々増加傾向にある。そうした中で、新たな販売チャネルとして、コンビニやバラエティショップ、量販店などでもオーガニックや健康食品を扱うケースが増えてきた。

コンビニチェーンの中で積極的に健康志向商品を展開しているのがローソンだ。同社ブランドのナチュラルローソンを中心に、商品開発や品揃えを強化。ナチュラルローソンブランドのグリーンスムージーは総販売数が2,700万本を超えるなどヒット。この他、減塩弁当や低糖質パン、オーガニック製品、トクホ、機能性表示食品などの商品群も拡充し、2015年度の健康志向食品の売上高は2,000億円で、今後の健康志向の高まりから集客増を図り、2017年度までに3,000億円に引き上げる方針としている。

また、オーガニックや自然食を扱う食系卸では、新たなニーズの掘り起しを図るため、家電量販店や雑貨、アパレル、アウトドアショップといった異業種店舗にも販路を拡大するケースが増加。雑貨やアパレルショップの利用客は、オーガニックやスーパーフードなど流行に敏感な女性が多く、おしゃれ感覚でオーガニックやスーパーフード製品を購入しているといい、店舗側も差別化を図るため、積極的に食品を扱い始めている模様だ。





■東京五輪にむけたオーガニックの動き

3.11以降、食に対する安心・安全の意識がかわり、ライフスタイルを見直す消費者、特に子育て世代の女性に多くなっているという。オーガニック製品に関しては、現在、日本政府が米国やカナダ、EUなど多数の国や地域と有機認証の同等性条約を結んでいることもあり、海外のオーガニック製品が多く日本市場に流通している。世界のオーガニック市場は拡大しており、米国オーガニック協会の報告によれば、2015年の米国のオーガニック市場規模は過去最高の433億ドルとなり、うち食品が397億ドルを占めた。一方で、日本のオーガニック市場は1,300億円規模とされ、欧米に比べてもまだまだ規模は小さく、行政、生産者、流通、メーカー、消費者のオーガニックに対する意識が低いといわれている。

そうした中、東京オリンピック&パラリンピック開催を契機に、日本のオーガニック市場の拡大を図る動きもある。(一社)オーガニック・ヴィレッジ・ジャパン(OVJ)では、東京オリンピック&パラリンピックの選手村やホテル、レストランで使われる食材・食品を国産オーガニックで調達しようと、自治体、生産者、メーカー、流通などを巻き込んだプロジェクトを推進。またプロジェクトはオリンピックで完結するのではなく、オリンピック後も、オーガニックで地域の活性化を図ることを目指している。消費者の食への意識も変わっており、オリンピックを契機に、オーガニック市場が拡大する可能性は大いにありそうだ。






健康産業新聞第1599号(2016.7.6)より一部抜粋
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