2015年9月10日
【桑の葉特集】国産素材台頭で市場拡大に期待

平成6年に、神奈川県科学技術政策推進委員会などの共同研究により糖吸収阻害作用が明らかになったことで、一躍、桑の葉が抗糖尿素材として認知され、青汁を始めとした、健康茶、サプリなど健康食品の定番素材になった。また近年では、加工技術が向上したことで原料形態も多様化し、製菓、パン、麺類、和菓子といった一般食品にまで配合される汎用性の高い素材になっている。ニーズの高まりとともに供給量も年々増加傾向にあり、中でも、国産素材の採用が増え、併せて国産プレーヤーの増加も目立つようになってきた。養蚕業の衰退で休耕地化した桑畑は、6次産業化の流れもあり、全国的に再開発が進んでいる。さらには、高い抗酸化能からスーパーフードとして桑の実(マルベリー)が注目されるなど、「桑」を取り巻く環境が好転の気配を見せつつある。




■生活習慣病予防、美容素材で注目
今や、青汁、健康茶、サプリなど健康食品素材の代表格に定着した桑の葉。機能性素材として一躍脚光を浴びたきっかけが、平成2 年から5 年間にわたり、神奈川県科学技術政策推進委員会、県衛生研究所、がんセンター、農業総合研究所、トヨタマ健康食品などが行った「機能性食品に関する共同研究事業」だ。同研究で、桑の葉に含まれる『1 -デオキシノジリマイシン』が小腸の糖分解酵素α-グルコシダーゼの活性を阻害するメカニズムが解明されて以降、抗糖尿素材として多様な製品での採用が進み、市場が飛躍的に拡大した。
また、その後の企業や大学などによる様々な研究で、中性脂肪やコレステロールなどの血中脂質の改善効果の報告も相次ぎ、生活習慣病対策商材に配合されるケースも増加。さらには、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なことから美容系素材としても人気が高まっている。桑の葉は、生活習慣病予防を図る中高年層や、美肌効果、整腸作用を求める女性層から支持を集め、幅広いニーズに対応できるのが特徴といえる。




■健康食品から一般食品まで採用広がる
市場に流通する桑の葉原料はエキス末やパウダー、茶葉が主流で、青汁や健康茶、サプリなど健康食品に配合される一方、現在では加工技術の向上もあり、パンや麺、製菓、和菓子など一般食品への採用も進む。現在製薬メーカーの太田胃散が桑製品に注力。『桑の葉ダイエット』シリーズは好調で、中高年や女性層のリピート率が高いという。国産原料を使った『桑の葉茶』や『桑の葉青汁』など、製品ラインアップも強化している。

今後の桑製品の動向としては、機能性研究がさらに進むことで、機能性表示食品制度に対応した商品が出てくる可能性もある。機能性成分の受託分析事業を展開する機能性植物研究所では、独自の分析技術によって、「1 -デオキシノジリマイシン」だけでなく、「ガラクトピラノシル- 1 -デオキシノジリマイシン」、「ファゴミン」など、桑に含まれる、食後血糖値を抑制するアザ糖類の分析が可能。今年に入り分析依頼が増えているようで、「1 -デオキシノジリマイシン」は医薬品成分だが、その他のアザ糖類は指定を受けていないため、今後の分析研究が期待される。




■国産素材が台頭、有機JASで高品質に
原料に関しては、これまでは海外産が主流だったが、近年では、国産ニーズの高まりや、また、6 次産業として休耕地化した桑畑を再開発する動きが全国的にみられ、国産素材を扱うプレーヤーが増えてきた。さらには、有機JAS取得がスタンダードになりつつあり、国産素材の品質も格段に向上している。

桑葉エキス末の主力サプライヤーであるトヨタマ健康食品は、7 月に国産有機桑葉粉末の取り扱いを開始。青汁用途などで引き合いが多く、既に採用も進んでいる。同社は、神奈川県で行われた共同研究において唯一民間から参加したメンバーで、桑葉の機能性にいち早く着目し、大学など研究機関と積極的に共同研究を行う。なお、桑葉の有用成分の総称である「DNJ®」は同社の商標登録となっている。青汁、桑茶のOEM供給を行うミナト製薬は、九州に、年間100t規模の安定供給が可能な自社管理農場を保有。同社工場は健康補助食品GMP認定と有機JAS認定を取得しており、圃場の管理から栽培、商品化まで一貫した生産体制で、差別化素材として提案を強化する。桑の6 次産業の先駆け的な存在である島根県の桜江町桑茶生産組合は、1998年に発足し、2002年には全国で初の有機JASを取得。遊休桑園の再開発を進め、また現在では県のバックアップを得ながら農地の休耕地を桑園に替える事業も進めている。2018年には生産量を生葉ベースで200tの生産量を目指す。鹿児島県のわくわく園では、農産、加工、小分けの工程で有機JASを取得。採用する品種「センシン」は、葉が大きく、葉厚もあり、深緑色な色合いから、青汁原料で引き合いが増えている。また同社では、スーパーフードで注目される桑の実(マルベリー)を使った商品開発にも積極的で、直営店やウェブ通販で『クワベリースパークリング』を販売する。この他、かつて養蚕業が盛んだった地域でも雇用創出、地域おこしを目的に、桑産業の再興を図る動きもある。また、震災後に放射能の影響を受けた福島県・二本松では、震災から4 年経ち、ようやく生葉でのセシウムの検出が規定値を下回ったことで、本格的に生産を開始した。ニーズの高まりを背景に、国産素材も台頭していることから、桑市場は今後も堅調な伸びが期待できそうだ。




健康産業新聞1579号(2015.9.2)より一部抜粋
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