2015年6月1日
【馬油】市場81億円(8%増)、インバウンド需要拡大が追い風に

馬油市場は自然志向や本物志向の高まりに加え、高い体感性や天然由来の伝統素材であることなどが再評価され、堅調に推移してきた馬油市場。無添加・純白の馬油100%クリームや石鹸、ヘアルートなどで通販が好調を維持していることに加え、中国人旅行者を中心とした「インバウンド特需」で店販ルートがにぎわいをみせており、2014年の市場規模は前年比8%増の約81億円に拡大した。その一方で円安によるコスト増と原料不足というリスクも顕在化してきた。




■通販×インバウンドで81億円市場に
馬の油は幅広い機能性があり、美容・美肌分野だけでなく、介護やリハビリ分野、スポーツ分野へと販路は広がっている。馬油の主な原料・OEMメーカーはホウリン、肌美和、皇漢薬品研究所、一光化学、千興ファーム、日本食品など。各社が主力商品に位置付けているのが、体感性が最も期待できる純粋馬油100%のクリームやローションオイルで、薬師堂の馬油100%の『ソンバーユ(無香料)』が有名だ。馬油石鹸やヘアケア商品の引き合いも多い。購買層も中高年女性だけでなく10~40代まで広がり、男性の利用者も増えている。

主な販路は通販、ドラッグストア、催事、高速道路、公共交通機関、ホテル、レジャー・宿泊施設の土産店など。特に通販は好調で、ケンコーコムの化粧品売れ筋ランキングでは、薬師堂の馬油100%クリーム『ソンバーユ』シリーズが長年、上位を占めており、最近は欠品になることもある。航空会社や鉄道会社など、公共交通機関との共同企画も盛んで、需要の掘り起こしや知名度向上につながっている。肌美和は航空会社「ソラシドエア」との共同開発品「シードスマイルズマーユクリーム」が機内販売の定番商品に。日本食品も九州JRの豪華寝台列車「ななつ星in九州」のアメニティグッズ「BIHADA OIL(美肌オイル)」シリーズに継続して採用されている。




■中国人旅行者が「爆買い」、高品質の「日本産馬油」が品切れ続出
今回の市場拡大には、中国人旅行者を中心としたインバウンド需要が寄与している。昨年10月に食料品や化粧品も免税対象になったことで、免税土産店やドラッグストア、百貨店などでの「まとめ買い」による品切れが本格化した。メーカー各社からは「過去にない引き合い」、「人手が足りない」と悲鳴にも似た声が聞かれる。インバウンド向けの商品開発に関する引き合いも盛んで、ある社の担当者は「既存客の発注数量が2 倍になった。リピート期間も短い」と明かす。中国のネットメディアでは「日本のお土産トップ10」が報じられ、馬油はスキンケア系で最上位の7 位にランクインした。ある国内メーカーの担当者が「海外産とは純度だけでなく色も匂いも、格が全て違う」と胸を張る日本産馬油が、高級志向の中国人旅行者を虜にしている。




■「新規客に供給できない」顕在化する原料不足と原料高
ただ、急激な需要増の「代償」として、以前から指摘されている原料不足と原料高が顕著になってきた。ある社の担当者は「このままインバウンド需要が増え続けると、国産原料の確保が難しい。供給を制限しなければ」と打ち明ける。実際、複数社が既存客を最優先にした供給にシフトしており、新規向けはストップしている状態という。

背景には、20年前の約8 割近くまで落ち込んだ馬肉の国内消費量の減少がある。最新のデータによれば、昨年の国内と殺頭数は1 万3,592頭で、前年から約1,300頭増えているが、消費減傾向に歯止めがかかるかは不透明だ。そうなるとカナダ産を中心とした輸入原料も視野に入れたいところだが、「コストメリットはほとんどない」(大手馬油OEMメーカー)との指摘があるし、商品の質が落ちてはせっかく顧客にした訪日外国人旅行者が離れてしまうといったジレンマもある。円安に伴う各種コスト増による原料高も懸念材料。実際、生体馬価格はこの1 年で2 ~ 3 割上がり、さらに上がるとの見方もある。

原料・OEM各社にとって、良質な原料の安定確保は最重要テーマ。インバウンドを機に成熟してきた「ジャパンブランド」を確固たるものにするためには、産地の適正表示、鮮度管理・品質対策の強化などと合わせて業界全体の取り組みが求められる。




健康産業新聞1572号(2015.5.20)より一部抜粋
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