2015年5月22日
【機能性表示食品制度】4月届出100件超、制度定着に期待

健康食品市場の歴史的転換点となる「機能性表示食品制度」が4月1日スタート、中旬までに100件を超える届出が集中した。第1弾として公表されたのは大手を中心とした8件(4月24日に3品追加)。特保にはない新たなヘルスクレームも誕生し、6月にも販売が始まる。届出資料を確認中の品目も続々公表される見通し。一方で中小企業にはハードルが高く、依然として頭を抱える企業が多数。規制改革会議が求める「市場の少なくとも半数を新制度に移行させる」との目標は遥か遠くにある。新制度は緒に就いたばかりではあるが、市場の大半を占める中小企業は利用できるのか。消費者庁次長の川口康裕氏に話を聞いた。(インタビュー日:2015年4月20日)




■食品表示基準をみたすこと
川口 4 月16日時点で、112件の届出資料が消費者庁に届いた。事業者の判断で自主的に取り下げたものもある。書類を形式的に確認し、要件を満たした8 件の届出情報を公開した。届出日から60日後に販売が可能になる。届出でご留意頂きたいのは、4 月1 日に施行された食品表示法だ。すでに販売されているものの表示の多くは経過措置期間があるが、機能性表示食品は新法がフル適用される。この点に気付いていないケースもあった。


―― 届け出たメーカーからは厳しいチェックが行われたとの声もあるが

初めてのことなので、可能な範囲で見ている。ケアレスミスなどを指摘している。


―― 厚労省のガイドラインと、“参考書”とも言われる消費者庁のガイドラインは意味合いが異なる印象があるが

言葉遣いに役所の文化の違いはあるが、基本的に特保を引き継ぎ同じ文章を使っている。厚労省の伝統から急に変えると混乱すると思っている。ガイドラインは事業者の行動規範的な意味と、行政の指針を公表しているという意味と両方ある。法律・政令・府令で解釈があいまいなところがある場合、我々はこう考えていると表明することで、事業者の予測可能性を担保している。


―― 「企業責任」という概念が示されたが

今回の制度が事前許可制ではないのは、行政的には極めて大きいことだ。そのうえで安全性は確保しないといけないし、機能性表示を行うにふさわしい科学的根拠も必要。事前許可でなくどうするかと議論して事前届出制になった。事業者の連絡先の表示、健康被害の情報収集体制や、消費者庁への連絡体制など普通の食品で求める以上の情報をお願いしている。ガイドラインの根拠は内閣府令と食品表示法。ガイドラインを守っていただければ安心ということは厚労省でも消費者庁でもそれほど変わらないと思う。




■ガイドラインの理解進む
―― 当初の届出が100件という数字は見込み通りか

個人的にはガイドラインの公表が遅かったため心配していたが、4 月1 日に数十件が届いて制度への期待を感じた。今後消費者に信頼される制度として定着していくことで、そういう制度であれば利用してみようとなればと考えている。


―― 安倍首相のスピーチにあった「世界最先端」は実現できたか

総理のスピーチと閣議決定に沿って、具体化を行ってきた。消費者の幅広い信頼を得られる制度にならないと、成長戦略も実現しない。世界最先端というのは、2 つポイントがある。1 つは農産物を対象にしていること、もう1つは諸外国の制度よりも消費者に分かりやすいこと。後者では適確な情報の提供を促す仕組みを作ることを心がけてきた。それが販売前届出と、ウェブサイトでの情報公開。これは米国のダイエタリーサプリメント制度でよく言われていることの反省に立ったもの。今回の制度に批判的な意見で指摘される米国の問題点を乗り越える制度設計にしている。


―― 安全性について、販売後の健康被害情報収集は、事故への新しい考え方によるものか

まずは、事故の未然防止のための努力をしなければならないが、同時に早期に発見し、拡大させず、深刻化させないことが非常に重要と思っている。消費者庁は幸い注意喚起などでは一般消費者に訴える発信力がついてきたのではないかと思っている。事故は残念ながら根絶できない。できる限り早期に発見して拡大を防止する。そのために注意喚起を含め、拡大防止のための必要な措置をしっかり行うと。




■中小企業も利用可能
―― 牡蠣肉エキスとタウリンなど、食薬区分の問題を整備しないと、新制度への移行が進まないのでは

基本的に口に入るもののうち、医薬品・医薬部外品以外が食品。その境界線は旧薬事法(医薬品医療機器等法)で定められており、残ったところが食品で我々のテリトリーになる。微妙なところは厚労省の判断に従うしかない。表示で、これはNGワードなのか、文脈によって使っていいのか、あいまいな場合もある。いつでも使っていいわけではないし、いつでも使ってはいけないというわけでもないものもある。そのあたりは要望を踏まえて厚労省とも議論していく。


―― 機能性関与成分が明確でないものはスタートラインにつけないが

2013年に閣議決定した規制改革実施計画に、「保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物」と書いてある。成分自体が明確でないものは閣議決定の前提を超えてしまう。閣議決定の外ではあるものの、残された課題であることは認識している。今後、検討を進めたい。


―― 中小企業は実際に制度を利用できるか
中小企業からすると、特保はヒト試験必須、事前個別許可でハードルが高い。要はヒト試験でなくても文献評価でできるということ。その評価自体を自社でやる必要はないわけだから、誰かに下請け的に出すとか、あるいは成分を作ったところが研究レビューをして、そのレビューを用いて製品として届出するというのも構わない。いずれにせよ中小企業の皆様にもチャンスが広がるものと考えている。(制度・ガイドラインを)だんだん理解している人が増えている。届出が100件以上出てきて、実際に8 件情報公開された(編集部注:4 月20日時点)。それを読み込めばこういうふうにするのかということがわかる。成分自体に新しい機能を表示しようとすると大変かもしれないが、よく使われている成分で機能が確立しているものはそれほど大変ではないのかなと。よく知られている成分であっても、特保では製品として審査を受けなければいけないし、かつヒト試験も必要。同じものを特保で売ろうとしたら大変ではないか。




■従来の広告への規制はあるか
―― 広告表示はどこまでできるか、薬事法の適用除外は?

基本的に表示がOKなものは広告としてもOK。食品表示法で適法なものを広告で同じように使うのは基本的には大丈夫だ。医薬品との境界域は旧薬事法が決める。


―― 機能性表示食品に移行できない食品も多い。エントリーしたのは大手の商品が中心で、さじを投げた企業や頭を抱えている企業がいっぱいある

届出があった112件の中には、中小企業や地方企業もある。書類の不備もあるが、乗り越えることは難しくない。早晩出てくると思う。まだイメージがわかない企業もあると思うが、8 件の情報が公開され、今後も増えていく。こういうふうにすればいいのかというヒントも出ていると思う。


―― 積み残しの健康食品を取り締まれという排他的な議論もある。これまで合法的にやってきた企業がほとんどだが

今までの合法的なものが今回の改正で違法になることはない。ただ今まで違法だったものはやっぱり違法なので、それはしっかり取り締まっていくことが、まじめに適法なものを作っていこうという企業にとっても重要だと思っている。機能性表示食品の監視は、消費者庁と全国141ヵ所の保健所等が連携して当たるが、「機能○○食品」などの名称を保健機能食品以外の食品に使うことは違法。また根拠もないのに、摂取するだけで容易に著しい痩身効果が得られるかのような表示など、そういうものはこれからも厳しく対応していく。


―― 機能性表示制度への移行のハードルは高い

ただ、新しい制度も使わず特保も使わずとなると、機能性を表示できない。事業者にとっては今まで以上にハードルが低くなる中で機能性表示食品が消費者に信頼されるジャンルとして確立すれば、重要な選択肢となるのではないか。規制緩和がきっかけで色々な仕事が生まれ、様々な方が関与していく。多くの方々が努力して初めて、消費者に制度の趣旨通りに伝わる。作り手だけが自己完結的にがんばるというのは限界がありハードルが高いと感じる人もいるかもしれないが、様々な立場の方がサポートしていただく中で全体として制度の趣旨に沿ったものが供給されて、消費者の選択の機会の確保につながるのではないか。


―― 業界団体の活用は

民間団体の取り組みは非常に重要だと思っている。制度として義務付けすることはなかなか難しいが、消費者庁としても業界団体や企業の消費者志向の自主的な取り組みは応援していきたい。業界団体の方で事業者の相談を受けていただき、多い質問はまとめて消費者庁に相談いただければ、関係省庁とも相談しながら検討する。制度は見直すこともありうる。未来永劫このままではない。業界団体の活動は色々な意味で重要だと思っている。




健康産業新聞1571号(2015.5.6)より一部抜粋
健康産業新聞の定期購読資料のご請求(無料)はこちら

出展資料請求はこちら
ご存知でしたか?助成金を活用した展示会出展について
出展社専用ページへ
同時開催展
Food Produce Japan
ページトップへ戻る