2015年4月22日
脳機能サポート/機能性表示解禁で市場開拓

いわゆる「団塊の世代」すべてが75歳以上の後期高齢者になる2025年まで10年。
認知症対策が国の重要課題として浮上している。厚生労働省の最新データによれば、
全国の65歳以上の高齢者3,079万人中、認知症有病者数は約462万人と推計され、
25年には700万人を超えるという試算もある。国は「健康寿命の延伸」を掲げて
セルフメディケーションを推進しており、脳機能改善や抗うつなどのエビデンスを
持つ脳サポート素材がこれまで以上に注目を集めそうだ。機能性表示食品制度の
解禁を機に、さらなる市場拡大の期待もかかる。


「認知機能」、「記憶力」…… 新機能性表示で市場活性化へ


認知症有病者数の加速度的な増加が大きな社会問題となり、健康食品市場における
脳機能サポート商品はさらなる活性化が期待されている。機能性表示食品制度の
対象となる素材も多く、「記憶力改善」、「認知機能を良好に保ちます」といった
表示を可能にするために、臨床試験でのエビデンス獲得が活発化している。まず、
機能性食品に関しては、定番のイチョウ葉で届出に向けた準備が進むほか、農水省も
脳サポート系商品の開発を強く後押しする。同省が日健栄協を代表機関にして行う
システマティックレビュー(SR)の対象4 成分には、記憶に関連する脳部位の萎縮を
抑制する効果が期待される『イミダゾールジペプチド』(鶏肉)が含まれている。
S Rの成果は生産現場が利用できるようにする方針だ。

脳機能サポート市場の大半を占めるのは認知症予防訴求だ。全体の6 ~ 7 割を占める
アルツハイマー型認知症(AD)対策に関しては、さまざまな方面から予防・改善の
アプローチが進む。ADの原因物質である脳神経細胞の老廃物アミロイド(A)βの
発現抑制に関しては、日清ファルマが静岡県立大学との共同研究で、『青大豆EXパウダー』
に老化に伴う学習能と記憶能の低下が抑制されることを確認し、「脳機能低下抑制剤」
として特許を出願した。また、築野食品工業は米由来ポリフェノール『フェルラ酸』が
1 日200mgの摂取でAβの蓄積抑制によるADの改善作用を示したことを明らかにした。

『イミダゾールジペプチド』は抗疲労効果が知られていたが、独立行政法人国立精神・
神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンターが、東京大学、九州大学、
日本ハムと共同で行った「鶏肉に含まれる高機能ジペプチドを用いた中高齢者の心身健康
維持に関する研究」で、脳老化の改善効果も新たに判明。「2014年農林水産研究成果10大
トピックス」に選定された。今後は認知症の発症を予防する食品への活用が期待される。

ブームが続くココナッツオイルでもエビデンス獲得の動きがある。ADは別名「脳の糖尿病」
あるいは「3型糖尿病」とも呼ばれる。AD患者の脳からはインスリン抵抗性に関連した
遺伝子が多数発現し、グルコース代謝も低下している。そのため、神経細胞がエネルギー
不足に陥っているとされる。そこで、グルコース不足を補うために中鎖脂肪酸から作られる
ケトン体が注目され、それを多く含むココナッツオイルが脚光を浴びている。

順天堂大大学院の田平武客員教授のグループがこのほど、ネスレ日本のサポートを得て、
ココナッツオイル由来の中鎖脂肪酸を95%以上含む米国Accera社の医療用食品「Axona®」を使い、
糖尿病を有するAD患者10例の研究を行った。結果、血中総ケトン体、アセト酢酸、ヒドロキシ
酪酸が上昇し、半年後に脳機能の改善を示す例もみられた。しかし、半数が腹部症状や下痢を
主とする不耐症を訴え脱落するなど問題も多く、「日本人に適した量の決定と多数例で
長期観察の必要がある」と結論づけた。課題が解決されれば、キャナやナチュラセンス・
ジャパンらの受注増につながりそうだ。

また、AD患者の脳では主に記憶能や認知機能に関わる神経伝達物質『アセチルコリン』が
減少していることから、その補充が予防と改善につながるとし、エイチ・ホルスタインなどが
『α- GPC』をアセチルコリンの前駆体として提案している。“脳の栄養素”として知られる
『PS』も日油やビーエイチエヌらがエビデンスの構築を進めている。新素材では、協和薬品が
漢方理論に基づいた『12種の複合植物エキス』の供給を始めた。


「学習サプリ」や「おいしい健康」に、広がる脳機能サポート商品の裾野


最終製品では、認知症予防以外の効果をうたったものや、料理での使い勝手を追求したものが
消費者心理を捉えている。代表的なところでは、『豊年大豆レシチン』を取り扱うJ -オイルミルズが
牛乳やサラダなど様々な食品にかけて食べられる特徴を生かし、食品売場への提案を強化する。
北海道バイオインダストリーは「記憶障害改善作用を有する組成物」として訴求するDPTSを高含有する
『北海道タマネギドレッシング』が好調だ。中国では日本以上に「学習サプリ」としての需要が激増。
「一人っ子政策」で親の学習熱が高まり、受験戦争を勝ち抜くためにサプリメントを常用する受験生が
増えているという。実際、3 月の健康博覧会に出展したインターテクノのサプリ『ペプI Qアップ』が
中国のバイヤーから多数の引き合いを受けた。

用途や利用スタイルも多様化し、脳機能サポート商品の裾野は広がっている。


健康産業新聞1570号(2015.4.15)より一部抜粋
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