2014年9月24日
『AICS』とは? 5ml の血液で、幾つものがんの早期発見が可能に

■メタボ、ロコモのヘルスチェックも秒読み段階 --味の素

5mlの血液の採血・分析で、胃がん、肺がん、大腸がんはもとより、前立腺ガンや
乳がんなどのリスクが評価できるーAICS( AminoIndex CancerScreening)の検査技術が確立して、
全国900近い診療所でチェックが受けられるようになった。
また、膵臓がんやメタボリックシンドローム、やがてはロコモティブシンドロームのチェックも
可能になるとみられ、これからの予防ビジネスをサポートする大きな武器になりそうだ。
AICSの仕組みや現状、今後の応用可能性について話を聞いた。


Q 血液分析というと、これまでも血糖値やコレステロール値の測定などでは知られているが、
がんのチェックや早期がんのチェックが出来るようになった。そのメカニズムは?

味の素:
簡単に言うと、この検査は「がんを見ているのではなく、がんによる代謝の変化」を見ている。
血液中のアミノ酸は40種以上あり、各種アミノ酸の血液中濃度は生体の恒常性維持機能で、
一定になるよう制御されている。栄養状態の悪化やなんらかの疾患に罹患していると、
この血中アミノ酸濃度のバランスが崩れる。これまでも特定のがんや自己免疫疾患などと
アミノ酸バランスの特異的な変化に相関性のあることは多数報告されてきた。
各種がん患者のアミノ酸プロファイルを作成することで、アミノ酸バランスから
がんを推定する仕組みの実用化の可能性が出てきた。もう一つの実用化の技術は、
血液中のアミノ酸を高速で分析する試薬と機器の開発があった。従来一検体で2 時間かかっていた分析が
7 分以内でできるようになり、データ処理なども加速し、商業化の可能性が出てきた。
具体的には、胃がん、肺がん、大腸がんに加え、前立腺がん(男性)、乳がん(女性)、
子宮がん・卵巣がん(女性のみ)を対象とするリスク評価ができる。

Q 健康診断などで、がんの早期発見の重要性が叫ばれてきたが、これまでの診断方法との違い、精度は?

味の素:
これまでは内視鏡やX線、マンモグラフィーなどがよく知られている。
AICSは、がんを見つける検査(確定診断)ではなく、がんである可能性を拾い上げる
(リスクスクリーニング)検査であるというのが大きな違い。がんに罹患すると、早期がんの段階から、
がんの種類別に固有のアミノ酸パターン(アミノ酸プロファイル)が発現する。
例えばがんに共通する変化では、トリプトファンやヒスチジンをみる。逆に特異的な変化では、
ロイシンやスレオニンをみている。これらを0 ~10まで数値化し、がんである確率を
A、B、Cの3 ランクで評価している。胃がんでランクCの場合、98人に1 人、通常の有病率の約10倍の確率で
高いリスクとなる。(一般の人ががんである確率は1,000人に1 人と言われている)

Q がんの可能性を拾い上げるとすると、判断やその後の予防対応が課題になると思うが。
例えば、将来はCTやPETなどの画像診断に代わり、AICSと超音波検診の組み合わせが
人間ドックメニューになるのでは?

味の素:
確かに「AICSによるがんの発見率は0.38%で、2011年度人間ドック全国集計成績報告の0.26%」
(人間ドックVol28、2014、No5)という研究も報告されている。ここでは、健診での併用など
その可能性は広がっていくと思う。A I C Sを受診する場合は、医療機関が窓口になることが望ましく、
どこでも受診可能という訳にはいかない。

Q どのぐらいの費用がかかるのか

味の素:
医療機関によって違うが、一般的な項目で1 万8,000円~ 2 万円位かと思う。

Q 特区構想や医療サービスの輸出などのテーマとしても注目されると思うが、自治体での補助などは?

味の素:
普及に向けた取り組みは神奈川県や鳥取県で行われているが、
一部の自治体を除き補助が出ているという話は聞かない。

Q 実際に採用されている医療機関が全国900ヵ所と広がっているが、福岡で聞いたところ、
やはりもう少し安くなると、定期的に使えていいという声もあったが

味の素:
これまでの研究にかけた投資コストなどが大きく、分析にも一定のコストがかかってるが、
価格に見合う価値ある検査を引続き提供していきたいと思っている。

Q 近年、GoogleやYahooなどがヘルスケアへの取り組みに意欲を示しているが、
通信販売での遺伝子検査や機能表示を睨んだ尿チェックなども動き出すと見られる。
AICSの検査項目の拡大や新たな分野の可能性は

味の素:
新しいがん種としては、膵臓癌の臨床試験に取り組んでおり、
1 - 2 年で実現可能なところにこぎつけている。
さらに、メタボリックシンドロームやサルコペニアでも、
アミノ酸組成と変化で、いろいろな判断指標ができれば、健康寿命延伸にも貢献できると思う。


健康産業新聞1546号(2014.9.17)より一部抜粋
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