2014年7月31日
注目度高まる“酒”副産物の機能性 酒造メーカーの健康・美容戦略

酒の製造過程で出る副産物や醸造微生物の代謝活動で生産される物質に、健康・美容に寄与する効果があることが次々と解明されている。こうした中、清酒や焼酎の醸造メーカーを中心に、醸造時に使用する酵母、酒の製造過程で生まれる酒粕やもろみなどから健康食品や化粧品原料を取り出し、原料供給や最終製品として販売する動きが活発化している。また大手企業の中にも、これら素材を用いたサプリメントや化粧品を上市する動きが見られる。酒由来の機能性素材は、酒醸造の歴史、長い食経験に裏付けされた安心・安全な素材として、消費者からも受け入れられやすい点が特長だ。




■“百薬の長”のメカニズム解明進む
“酒は百薬の長”―― と呼ばれ、古くから飲酒は適量であれば健康維持・増進に寄与すると言われてきた。近年になって酒の製造過程で出る副産物や醸造微生物の代謝活動で生産される物質に、健康・美容に寄与する効果があることが、次々と解明されている。特に、酒を製造する過程で行われる原材料の発酵・醸造工程が、素材の機能性向上に大いに関与していることが明らかになりつつある。

最近では、ライオンが清酒酵母に深い睡眠を誘導するアデノシンA 2 A受容体の活性化能を著しく高める効果があること、ヒトによる評価で睡眠の質の改善に客観的効果が認められることを確認。学会発表の上、先月25日より快眠サプリメント『グッスミン酵母のちから』として発売するなど、大手企業も酒由来の機能性素材に注目している。




■清酒・焼酎から開発、様々な機能性素材が流通
現在、市場には様々な酒由来機能性素材が流通している。清酒由来では、ホルスが新潟県佐渡沖の海洋深層水を100%仕込み水に使用した清酒の酒粕から抽出した『酒粕エキス』(ドリンク用)と『酒粕エキス末』(錠剤・カプセル用)を販売。ミネラルやアミノ酸を豊富に含有するほか、フェラル酸やSAMeなども含む。ダイエットや美容、体力増進、ヘアケアなど幅広い用途で使用できる。また、酒粕を独自発酵し抽出した美白効果、しわ・たるみの改善、育毛作用などを有する化粧品用原料『ホルス吟醸エキス』も揃える。ヤヱガキ醗酵技研は、国産・酒粕由来の機能性素材『プロファイバー®』を展開。酒粕を食品用酵素と酵母で再発酵させ、食物繊維とコメ由来のレジスタントプロテインを豊富に含むのが特長。脂肪酸合成酵素の低下による肥満予防など抗メタボ素材として採用が進んでいる。
ユニテックフーズでは、日本酒由来の美肌成分エチルα-Dグルコシド素材『SA-KE moist』を展開。麹に含まれるα-グルコシダーゼが日本酒の醸造中、アルコールに糖転移して生成される素材。旨みや濃厚味に関与する呈味成分で、荒れた肌の修復サポート、角質層の水分量アップ、塗布することによる整肌サポート、肝機能維持サポートなどの機能を持つ。

焼酎由来では、備南食研が薩摩酒造、福山大学生命工学部との産学官連携で開発した『薩摩焼酎もろみ粉末』を展開。天然由来セラミド配合の美肌素材として提案を強化している。『いいちこ』で知られる三和酒類は、麦焼酎の発酵技術を用いて開発した「発酵大麦」をベースに、さまざまな用途に合わせた機能性素材を提案。睡眠美容素材の『大麦乳酸発酵液G A B A 』は、G A B A20%以上の液状品と90%以上の粉末品を取り揃える。焼酎『宝山』で知られる西酒造でも鹿児島大学との共同研究から生まれた「もろみファイバー」と「もろみエキス」を機能性素材として販売している。

このほかにも、酒由来の機能性素材としては、「ビール酵母」「もろみ酢」「レスベラトロール」など様々な素材が知られている。また最近の発酵食品人気を受け、テレビ放映を機に、飲む美容液として甘酒がブームになるなど、酒由来の機能性素材への消費者の関心は年々高まりをみせている。




■酵素・健康飲料・健康酒など、ユニークな取り組みも
一方、酒造りの技術を応用した独自の健康・美容戦略で売上を伸ばしている酒造メーカーも見られる。天保元年創業の清酒メーカー・澤田酒造では、蔵付酵母菌で野菜や果物を発酵させた植物発酵エキス『澤田酵素』のOEM供給を展開。酵素ブームの中、順調に取引先を拡大している。「球磨焼酎」の蔵元である堤酒造は、国産黒豆100%を丸ごと発酵した健康飲料『発酵黒大豆搾り』を展開。カタログ通販大手などにも採用され全国展開が進んでいる。芋焼酎『黒霧島』などで知られる焼酎大手メーカーの霧島酒造では、焼酎そのものに機能性素材を配合した「健麗酒」シリーズを展開。冬虫夏草配合の『金霧島』やアスタキサンチン配合の『Ax霧島』などをラインアップしている。

食経験が豊富な酒由来の機能性素材、酒の製造工程で用いられる技術を用いて開発された酒とは異なる機能性素材は、ともにユニークで市場性が高いものが多い。現在も研究開発が進行中の素材が複数見られることから、今後も新たな素材の登場に期待される。





健康産業新聞1537号(2014.7.9)より一部抜粋
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