2014年7月28日
【殺菌乳酸菌(死菌)】じわじわ需要高まる 乳酸菌市場のトレンドになるか

現在、インフルエンザ対策や整腸作用の改善などを目的に、ヨーグルトなどを中心に売れている乳酸菌商品。“生きて腸まで”というキャッチコピーが先行し、「乳酸菌は生きていなくてはいけない」との認識から生菌乳酸菌の人気が根強い一方、“安定した品質”と“加工のしやすさ”などを理由に殺菌乳酸菌、いわゆる死菌を採用した商品のバリエーションが増えている。事実、近年の研究では殺菌乳酸菌の機能性に関する論文発表も急増しており、その機能性の実力に目をつけたメーカー各社では、殺菌乳酸菌(死菌)の採用を積極化している。死菌という言葉のイメージから、敬遠されがちだった殺菌乳酸菌だが、その有用性をレポートする。




■死菌の機能性は100年前から確認されていた
乳酸菌の有用性が明らかにしたのが、ロシアの微生物学者メチニコフ。人間の老化は腸内の有害菌によって起きる腐敗産物の発生が原因とし、ヨーグルトを食べて有害菌を減らすことが長寿の秘訣であると提唱した。これが有名な「ヨーグルトの不老長寿説」で、1907年に刊行した「長寿の健康」のなかでヨーグルトに含まれる乳酸菌に腸内の腐敗菌の増殖を抑える働きがあると言及している。この提唱により乳酸菌の研究が盛んになっていく。いまから100年ほど前に、ベロノウイスキー氏が犬の腸管にヨーグルトを注入し、腸内の腐敗産物の産生が抑制されたことを確認、さらに、コアンディー氏によって、マウスに加熱殺菌した乳酸菌を添加した餌を食べさせたところ8 %寿命が延びたことも確認している。これにより、殺菌乳酸菌においても健康効果があると論じられている。

ではなぜ、現代において生菌(プロバイオティクス)が優位になっているのか。バイオ研代表でバイオジェニックス連絡協議会議長を務める菅辰彦氏は、「ヨーグルト中の乳酸菌は胃の中で死なず、無事に小腸に達すれば、それが増殖して発酵の状態に導くのではないかという仮説が生まれたため、それによって、メチニコフが提唱した殺菌乳酸菌(死菌)による健康効果も無視されてきたのでは」と話す。当時発酵乳としてヨーグルトしか存在していない頃、生菌の健康効果の認識が先行し、そのまま現代のプロバイオティクスの礎となった格好だ。




■殺菌乳酸菌の改善メカニズム
これまでに殺菌乳酸菌を用いた研究では、腸内細菌叢の改善、便通改善などの整腸作用、生体防御、免疫賦活、アレルギー抑制、美肌作用など、あらゆる機能性が確認されている。殺菌した乳酸菌(死菌)の改善メカニズムについて、腸内細菌叢研究の権威でバイオジェニックスを提唱した光岡知足氏は、「腸管を入った乳酸菌は、小腸のパイエル板を通過して、体内に引き込まれます。マクロファージによる貪食が起こり、IL-12やインターフェロン-αなどのサイトカインを分泌し、この物質を出すことによって免疫担当細胞に向けて、異物が入ってきたという信号を発します。それが制がん作用や感染防御作用につながる」という。つまり、マクロファージが外から入ってきた菌を食べることによって免疫のスイッチが入り、こうした作用によって乳酸菌が体の健康に役立っていると考えられている。同氏は続けて、「生きた乳酸菌を生きたまま腸に入れても、増殖することはありません。生きて腸に届く乳酸菌を飲んでも腸内を死んだ状態で通過するだけですから生きている必要がないともいえます。乳酸菌の整腸効果というのは、菌の生死に関係なく菌体が免疫機能を活性化させた結果起こるもので、むしろ菌数を多く摂取することが重要」としている。




■殺菌乳酸菌のメリットは菌数の多さと扱いやすさ
殺菌乳酸菌はその名の通り、乳酸菌を加熱殺菌処理して加工したもの。殺菌処理をすることで、菌の品質が一定になり安定した原料として扱えるほか、製造面でもコンタミのリスクは生菌に比べ圧倒的に低いというメリットがある。そのため、パンやお菓子、麺類などをはじめ、あらゆる一般食品への応用が可能で、商品バリエーションが豊富に展開できる良さがある。何より、殺菌乳酸菌の一番の強みとなるが、グラム中の乳酸菌数が圧倒的に多いこと。生菌では、平均して1 mg中に10億個の乳酸菌が存在するが、殺菌乳酸菌(死菌)では、1 mg中に500億個の乳酸菌が存在する。先に触れたメチニコフのヨーグルトの長寿説では、ブルガリア地方やコーカサス地方などの健康長寿の村では、1 日あたり500mL~1000mLのヨーグルトを毎日摂取していたといい、乳酸菌の菌数に換算すると約1 兆個を毎日摂取している計算となる。現代においてヨーグルトを1,000ml摂取することは簡単ではないが、殺菌乳酸菌では、0.2gの摂取で1 兆個の乳酸菌の摂取が可能となる。現在、殺菌乳酸菌を配合したサプリメントや一般食品の製品が増加しているのは、こうした菌数を多く摂取できる優位性が評価されているためだ。





健康産業新聞1536号(2014.7.2)より一部抜粋
健康産業新聞の定期購読資料のご請求(無料)はこちら

出展資料請求はこちら
ご存知でしたか?助成金を活用した展示会出展について
出展社専用ページへ
ページトップへ戻る