2013年12月3日
転換期を迎えた有機食品、市場拡大の予兆

米国農務省と日本農水省は9月末、オーガニック食品に関する同等条約を結んだ。米国では三大ネットワークのABCニュースが紹介したほか、ワシントン・ポストにも解説記事が出るなど、今回の条約締結には関心が高く、話題となった。農務省側も条約締結後いち早くQ&A集をアップするなど日本市場開拓に意欲的に動き出している。米国産オーガニックの輸入促進により、流通する商材数が増えれば、市場が活性化するとして注目されている。これまで日本市場では商材数の少なさから、ホールフーズ・マーケットのような総合的な有機・ナチュラルストアは実現が難しいと言われていた。しかし、輸入オーガニックが増加すれば、バラエティストアやセレクトショップ、コンビニでもより身近になる。さらに通販アマゾンでも差別化商材として取り扱いが増加していることも見逃せない。オーガニックの存在感が増す中、来年の日米の認証同等性評価が始まれば、オーガニック市場のアイテム増加、流通の拡大が消費者ニーズを引き出すことが期待される。



◆新しいライフスタイルとして「オーガニック」が日常生活に


最大のオーガニック消費大国である米国では市場規模は1990年の10億ドルから2012年の350億ドルと約35倍に伸張。世界経済の後退期でも成長を続け、基盤の強さを見せつけた。米国の飲食売上の約5 %はオーガニック製品で占められており、今後も年率10%成長が続くとみられる。北米の一般家庭の8 割はオーガニック食経験があるとの報告もあり、日常生活に広く浸透している。オーガニック専門店ばかりでなく、スーパーマーケットチャネルでの販売も拡大基調で、米国SM大手のウォルマートでも、オーガニック商材を食品から雑貨まで導入している。

イギリスやフランス、ドイツなど欧州では持続可能な社会を模索する取り組みとして、また、中国、韓国、台湾、ASEANでは富裕層を中心に食の安全性確保の観点から、トレーサビリティの確保された食品としても、付加価値のある商材としてオーガニックが支持されている。一方、アフリカ諸国や南米諸国は有機栽培を取り入れた農業経営で付加価値生産を目指す。オーガニックは世界的な広がりとなり、ライフスタイルの新たな潮流として定着しつつある。



◆輸入オーガニック、市場活性化の呼び水に


日本のオーガニック市場は、2000年の有機JAS制度導入で創出され、オーガニック宅配大手のらでぃっしゅぼーや大地を守る会などが青果生鮮品を中心に市場開拓をしてきた。しかし、商品群の少なさなどもあり、市場は横ばいが続いていた。統計資料によれば、オーガニック農産物生産高は全農産物の約0.2%に留まる。一方、ファッション誌や女性誌などの「オーガニック」特集では、オーガニックコスメが取り上げられ、市場は300億円を超える規模に成長している。さらに雑貨類では、オーガニックコットンを使ったナプキンやオーガニック原料で作られたナチュラル洗剤などが店舗における定番商材となっており、扱い数も増えている。

しかし、近年、オーガニック食品への関心に変化が生じてきた。震災を経て、環境配慮型の商材を求める消費者が増えてきたこと、さらに、「美味しい、楽しい、使いやすい」オーガニックが市場に提案されるようになってきた。これまでオーガニックコスメ中心だった店舗でも、オーガニック食品の採用が相次いでいる。この原動力となったのが欧米からの輸入オーガニック食材だ。2010年以降、店頭に並んだ海外オーガニックブランドだけでも数百に及ぶ。ミューズリーやシリアル製品だけでなく、マクロビオティック、ローフード原材料で作られたバータイプ食品も定着してきた。飲料でも、海外有機認証と有機JAS認証を併せ持つ「クリッパー」「ゾネントア」などの有機ハーブティーは定番商品になっている。植物由来原料のみで作られた豆乳や米乳、有機素材由来のアサイージュース、ココナッツジュースも人気が高い。

東京・伊勢丹新宿店にあるオーガニック専門フロアのビューティーアポセカリーでは、昨年のリニューアルよりコスメに加えて、食品の提案に力を入れており、最近では、米国で人気のスーパーフード(スムージなどに混ぜて飲むベリー類のパウダー食品)が人気商材に。また、東京・タイムレスコンフォート自由が丘店は、ライフスタイル提案型ショップの完成形を目指し先月改装した。リニューアルした地下1階にはオーガニック食材コーナーとして、オーガニックスパイス、ジャムなどのほか、ミューズリーやバータイプ商品が並ぶ。さらに、オーガニックコスメ小売流通で拡大を続けるコスメキッチンも、新たにライフスタイル提案型ショップとしてビープルをオープンした。同店では、コスメに加えて、輸入食品、雑貨のラインアップを増強し、より親しいみやすい店舗として展開していく予定だ。オーガニックならではの「美味しさ、楽しさ、使いやすさ」が評価され始めている。



◆米オーガニックの流入で市場は転換期に


日米が9 月末に結んだ有機農産物および加工食品の同等性合意で、輸入オーガニックの導入を加速することになりそうだ。

今回の合意により、来年1 月1 日より、米国オーガニック製品は、米国農務省の有機食品認証制度(NOP, Natural Organic Program)に基づいたものであれば、日本の認証を改めてとることなく有機JASマークをつけてオーガニック食品として日本市場に並べられる。同様に、日本の有機JAS制度による認証を受けた国産有機農産物等も米国へ輸出する際「organic」等と表示することができる。米国側は条約締結同日、Q&Aをいち早く公開し、着々と日本進出への準備を整えている。



◆リアル店舗超えを狙うアマゾン


首都圏では渋谷ロフト、ヒカリエなどバラエティストアが流行を追い続け、リニューアルが相次いでいる。感性とこだわりが際立つバラエティストアの店舗づくりにはオーガニック製品が欠かせない。要となる商材と位置付けられ、売上を伸ばしている。

バラエティストアでは“ライフスタイル提案”として生活シーンを再現する売り場で、よりよい生活を実現するアイテムとしてオーガニックが提供されている。“提案型ライフスタイルショップ”と銘打つ「東急ハンズ」も、オーガニックコスメやオーガニック食品を差別化商材として導入する。セレクトショップでもミニコーナーを設置し、オーガニック商材を並べるケースが増えてきた。

日本ではこれまでホールフーズ・マーケットのような総合的なオーガニックライフスタイルショップが誕生しなかった。その、最大の理由といわれる商材不足について、充実した輸入オーガニック食品が入手ができるようになった。今後、ホールフーズ・マーケットのような店舗も出現が可能なところまで来ている。

消費者のオーガニック志向の高まり、コンビニやバラエティショップなど、チャネルの拡大など、市場拡大の環境が整ってきた。消費者の期待に応える国産オーガニック製品が出てくればさらなる起爆剤となって市場の成長が加速することが期待される。

さらに、インターネット通販の巨人アマゾンの存在が、オーガニック市場にとって追い風なる動きを見せている。同社が今年4 月に開設したオーガニック・ナチュラルコスメストアは、リアル店舗を超える品揃えに。さらに同ストアでは、各ブランドストアも展開され、その見せ方はリアル店舗とほぼ同じ。異なるのは、手にとって見ることができないことのみだ。即日に対応できる在庫はリアル店舗では真似できないアマゾンのアドバンテージとなっている。米国では、アマゾンフレッシュという生鮮ショップをオープンし、生鮮宅配を開始した。その目玉がオーガニックであることも見逃せない。今後、米国だけはなく、世界各国で展開することも視野に入っているという。先日の報道によれば、アマゾンが想定する競争相手はウォルマートとホールフーズ・マーケット。ますます既存リアル店舗との戦いは激化するとみられる。オー
ガニックがリアル店舗でも、ネット通販でも戦略的に重要な商材となってくるのは、まちがいないようだ。


健康産業新聞1505号(2013.11.6)より一部抜粋

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