2013年9月18日
【調剤薬局大手トップインタビュー】物販事業、サプリ販売を柱に収益確保へ

保険薬局業界は、来年4月に実施が予定されている消費税増税や医療機関の薬価差益の縮小、ドラッグストアの参入、調剤報酬のマイナス改定、医薬分業の後退機運の高まりなど経営環境が厳しさを増しており、業界再編の時代に突入しつつある。こうした中、調剤薬局大手のクオール(株)(東京都港区)では新たな収益源を確保するため、健康食品やOTC医薬品などの物販事業を強化する動きを加速させており、昨年1月には食品開発業務受託機関の(株)エスカルラボラトリーズを完全子会社化した。同社専務取締役の岡村章二氏に、保険薬局におけるサプリメント販売の必要性や課題などを聞いた。




―― 保険薬局を取り巻く経営環境が年々厳しさを増している。

来年4 月、消費税が8 %に引き上げられると、処方薬のウエートの高い保険薬局ほど影響を受け、収益の悪化から業界再編が進むと予想している。厚生労働省が6 月26日に公表した「医薬品産業ビジョン2013」によると、「全国に約5万5,000軒ある薬局は調剤をはじめ在宅医療からセルフメディケーションの支援まで様々な業務があり、地域のインフラとしての役割を積極的に果たす必要がある」ことが示された。これは、「大病院の前で処方箋による調剤業務のみに特化した薬局はダメですよ」ということを示唆している。クオールでは保険薬局業界の将来を見据え、6 、7 年前よりサプリメントやO T C 医薬品など物販事業の強化を進めてきた。薬局のあるべき姿として、お店から半径数百m 圏内の地域住民の健康状態や服薬履歴などを普段から把握しておくことが重要だと考えている。日曜日に風邪をひき、近くの医療機関が休診の場合、クオール薬局に来局すれば、これまでの服薬履歴を基に、患者に合ったO T C医薬品の販売を行えることが必要だ。昔は医者に診てもらう前に、薬局へ相談に来る患者が多かった。以前、私の実家でも薬局を経営しており、近所の方が夜中に台所の勝手口を叩き、「何とか診てほしい」というケースがあった。



―― クオール薬局におけるサプリメントなど物販事業の取り組みは。

店舗によっては待合室に広いスペースがあるので、料理教室とか健康セミナーなどを開き、季節に応じた健康情報や食生活などの相談・指導を行っている。そこでサプリメントのサンプル配布や販売も行っている。栄養相談は全店舗合計で月約150回開催しており、9 月からは一部有料化する。栄養相談では、管理栄養士が3 日間の食事分析や1 週間の献立づくりなどを提供しており、必要に応じてサプリメントの利用も勧めている。風邪が流行する季節に、風邪予防をテーマにした健康セミナーを開き、そこでサプリメントを販売することもできる。薬剤師は物販に対する喜びを感じ始めており、今後、疾病に応じた栄養指導や販売が行えるようしっかりした理論体系を構築することも重要なテーマとなっている。今年4 月には、ジェイアール西日本デイリーサービスネットと提携し、大阪駅構内に「駅クオール薬局JR大阪店」を開設した。1 号店では薬局製剤のほか、サプリメントやO T C 医薬品の品揃えも充実させており、3 ~ 5 年後には10店舗程度まで拡大させる。またローソンに調剤薬局を併合した店舗は、現状の33店舗から来年3月までに100店舗まで拡充する計画だ。さらに今期は保険薬局を438店舗から549店舗まで増やす計画で、連結売上高1,000億円を見込んでいる。



―― 保険薬局におけるセルフメディケーションのとらえ方は。

セルフメディケーションについては、2 つのとらえ方がある。1 つは、自分自身で健康を管理し、軽い病気やけがの症状緩和・予防のために、O T C 医薬品などを利用して手当てすること。例えば、風邪の軽い症状を感じたら、救急箱にある風邪薬を服用するとか。もう1 つは、普段から風邪をひきやすい体質であれば、病気にならないように予防・未病改善を行うことがあり、これが本来のセルフディケーションのあり方だと考えている。



―― 保険薬局は、処方箋を持っていないと入りにくいという印象もあるが。

クオール薬局では、一般のお客様が薬局に入りやすいようなお店づくりとして、外からお店の中が見えるよう工夫したり、薬局の入口にO T C 医薬品やサプリメントを陳列するなど気軽に入りやすい店づくりに日頃から努めている。それでも、一般消費者から見るとまだまだ入りにくいという指摘もある。保険薬局にとって、店づくりは永遠のテーマだ。保険薬局の薬剤師に対する一般消費者の信頼は高い。当社の調査によると、薬剤師が勧めるサプリメントやO T C 医薬品などを利用してみたいと考えている消費者は多いことが判明した。一方、現場の薬剤師の物販に対する意識として、①商売は苦手でノルマに抵抗感がある、②高額商品の販売は苦手、③エビデンスが必要、④ O T C 医薬品とサプリメントの知識不足―― などがある。クオールでは社員参加型の商品開発や販売促進、インセンティブ、サプリメントの勉強会などを通じて、販売強化を進めている。保険薬局の薬剤師は患者と医療機関の橋渡し役を担っており、サプリメントと医薬品との相互作用に関する情報や、的確な受診勧奨を行うことができるのが強み。患者が医者の診断を受けるタイミングの判断を間違えないことが重要だ。



―― 健康食品の新たな機能性表示制度の動きをどう見ているか。
保険薬局業界がセルフメディケーションを推進していく上で、サプリメントの正しい情報を消費者に伝えることができる意味は大きい。私も保険薬局業界の薬剤師として33年間従事してきて、「ようやくこうした時代がやって来たか」と感慨深いものがある。





健康産業新聞1495号(2013.8.21)より一部抜粋

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