2013年7月17日
健食の機能性表示制度、導入決定 米国の表示制度を改良

政府は健康食品の機能性表示導入を決めた。企業責任に基づく新表示制度が2014年度にも示される。健食の規制緩和については、厚労省時代から再三にわたる検討を繰り返してきたが、結論はいつも「健康食品はカヤの外」。健康食品を吸い上げることを目指した「条件付き特保」に至っては、数年の運用でたったの1件しか許可されていない。こうした状況を打破したのは、政権交代によって復活した「規制改革会議」だ。4ヵ月という短い期間で、健康食品の抜本的な表示規制緩和に道筋をつけた。これを受けて行政サイドは、米国の制度を参考に、企業責任によって機能性表示を認める新制度の設計に入る。折しも来年は、1994年の米国「DSHEA」施行から20年。周回遅れながら、日本の健食新制度はようやく実現へ歩み出す。「何でも表示できる」と先走るのは禁物だが、“ヨーイドン”に備えたシミュレーションはしておく必要がある。




■規制改革会議が台風の目に
昨年末に発足した安倍新政権は、2013年に入り、景気回復に向けた施策を次々と打ち出した。1 月11日に、日本経済再生に向けた緊急経済対策を閣議決定。農林水産省の「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」が取り上げられるなど、政権交代に伴う期待感は健康食品産業でも膨らみつつあった。そして上半期における“台風の目”となった「規制改革会議」が初会合を開いたのが1月24日。この時はまだ、健康食品の表示については取り上げられていなかった。こうした状況下で、消費者委員会が「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」を取りまとめたのが1 月29日。建議事項は、表示・広告の適正化に向けた取組強化や、機能性表示に関する検討など。表示規制緩和については、「栄養機能食品の拡充の検討」にとどまり、業界内では「まあそんなもんだろう」と、もとより期待していないとの声が聞かれた。このあきらめムードが吹き飛んだのが、規制改革会議が2 月15日に開いた第2 回会合である。「一般健康食品の機能性表示の容認」という検討項目が示されたのだ。



規制改革会議は首相の諮問機関で、安倍首相が「成長戦略の一丁目一番地」と位置付けた規制改革に関する議論を行うために設置。岩盤のような規制を改革するとの強い意志のもと、エネルギー・環境、健康・医療、雇用、創業などの分野に大胆に切り込んだ。要望は、国民や経済界から寄せられたものを整理した。「一般健康食品の機能性表示の容認」を提言したのは、大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一氏。機能性表示の導入によって、国民の健康改善にとどまらず、産業振興や雇用創出が期待できると主張した。そして健食の機能性表示容認は、優先検討事項とすることが決まった。その後ワーキンググループでの検討にうつり、健康食品産業協議会や日本健康・栄養食品協会、日本通信販売協会などからヒアリングした。「現行制度は妥当」と主張する消費者庁との綱引きの結果、軍配は規制改革会議に。6 月5 日、ついに答申がまとまり、「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」が盛り込まれた。


この間の折衝で注目すべき点がもうひとつある。この件では厚生労働省からもヒアリングを実施。健康食品を食品衛生法で定義づけることには抵抗したが、特保のように健康増進法などで別途定義することは「異論はない」との理解を示した。さらに、安全性への配慮が必要であることを前置きした上で、「健康増進法等による仕組みにおいて機能性表示を認めることについて異論はない」と回答した。厚労省の所管法に立ち入ってこなければ、表示の部分は消費者庁に任せるとの立場を示唆したものだ。健康食品を「いわゆる」付きで呼び、その存在をなかなか認めようとしなかった厚労省のこの回答に、業界はどよめいた。背景には、医薬品ネット販売を規制する省令を「無効」とする最高裁判決が影響したとの見方も。



規制改革会議の答申を受けて政府は6月14日、「日本再興戦略」「規制改革実施計画」を閣議決定。「いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認」について、2014年度に結論・措置することが正式に決まった。新制度設計に当たっては、「企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしつつ、安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に行う」ことを付け加えた。ここに至って、健康食品表示の規制緩和は国の方針として決定したのである。






健康産業新聞1489号(2013.7.3)より一部抜粋

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