2013年5月17日
夏場こそこわい“冷え” 流通・小売企業の商機がここに

本当は怖い夏の冷え―― 夏場は気温が高いこともあって、四六時中のクーラーや冷たい食品・飲料の過剰摂取、露出度の高い服装などによって、冷えに対して無防備になりがちだ。専門家の話によると、夏場に過度に体を冷やす行為は、「冷え貯金」として夏の間、体に蓄積され、秋口になって身体に様々な悪影響を及ぼすという。全国冷え症研究所の山口所長は、「1 日1 度は体を、特に腹部を温める習慣を」と呼びかける。最近は女性誌を中心に、夏の冷え対策の重要性を特集する機会も増え、腹巻や温感肌着など関連商材の売れ行きは伸びているものの、まだ十分とはいえない。関連商材が季節商材から通年商材へとステップアップするには、「本当は怖い夏場の冷え」対策へのさらなる啓発を通し、流通のインフラ整備を図ることが今後のカギとなる。




■夏の冷え対策は、「頭寒“腹”熱」
冷えに対する研究が進むにつれ、最近、「実は“夏の冷え”の方が怖い」ということが、専門家の間で盛んに言われるようになってきた。その理由は、夏場は気温が高いことから、多くの人が冷えに対して無防備となりやすいことが挙げられる。特に、昨今は温暖化で真夏日や猛暑日が増えている上、震災以降の節電ムードの中では、肌の露出が多い服装や冷たい食品・飲料の過剰摂取―― など、知らず知らずの内に体を冷やす行為を繰り返してしまう人が多い。だが、この夏場に体を過度に冷やす行為が、実は体にとって非常に危険な行為であることを理解している人は意外と少ない。過度に体を冷やす行為は、体温調節を司る汗腺の働きを低下させ、血流量の減少、内臓への負担増加に伴う内臓の働きの低下、自律神経の乱れなどを招く。ひどい場合には「うつ」など危険な症状にも繋がるという。

15年間で延べ6 万人の冷え症患者の治療実績を持つ、冷え研究・治療の第一人者「全国冷え症研究所」所長の山口勝利氏は、夏場に体を冷やす行為は「冷え貯金」として体内に蓄積され、秋口からはその利息として、深部体温の低下を招き、基礎代謝の低下に伴う肥満者の増加、免疫力の低下に伴う風邪やインフルエンザ罹患者の増加などに繋がるという。女性の場合では、肌のくすみや脚のむくみ、髪のパサつき―― など美容にとっても悪影響を及ぼすという。
とはいえ、猛暑が続く夏場に、クーラーの使用や冷たい物を摂取する欲望を抑えるのは困難だ。そこで温熱機器や腹巻き、入浴剤等の関連商材の取扱各社では、夏場に体を冷やすことは多少仕方がないとし、その分1 日に1 度は体を温めるようにと提案している。山口氏も夏場の冷え対策として、「頭寒“腹”熱」を提唱する。3 月の「健康博覧会2013」内でのセミナーでも山口氏は、冷たい物を摂り過ぎたと思った日には、ショウガを入れた味噌汁などを飲むことで内臓を温めることをアドバイスしていた。また自律神経を乱さず、体にストレスを掛けない程度に、「上手に体を冷やす」ことも夏場の冷え対策の1 つとして有効な手段だとしている。




■年中商材へ、啓発強化でニーズ顕在化へ
夏場の冷え対策の重要性は最近になって、ようやく一般消費者にも浸透しつつある。山口氏の話では、夏の冷え対策についてメディア取材(特に女性誌)を受ける機会が、ここ1 ~ 2 年で大幅に増えているという。OLなど働く女性は年々増えているが、その多くは社内で仕事をしている。外回りの営業マンにとっては快適なクーラーも、社内で働く女性には負担が大きいこともままある。こうした働く女性を対象にした雑誌では、「夏の冷え対策」の特集を掲載する機会が増えているという。実際、メーカーの話では、腹巻きや靴下などは夏場でも売れ行きが好調という。
また温熱・温浴と免疫力や基礎代謝の関係についても認知が進みつつある。温熱・温浴によるヒートショックプロテイン(HSP)の働きを利用して傷付いた細胞を修復し、免疫力を高めるケアは、アスリートを中心に浸透している。美容業界でもデトックスやダイエット効果を期待した温熱・温浴サービスを提供するサロンは多く、これらケアやサービスは季節を問わずに人気だ。
一般消費者への認知拡大は、冷え対策商材の市場にとっても追い風となっている。実際、3 月の「健康博覧会2013」でも温熱ドームや温浴装置、温感素材を用いた寝装品、肌着類、入浴剤、さらにショウガなどの温感素材を配合した「ぽかぽか系サプリ」などの体を温める商材から、冷感寝具など上手に体を冷やす商材まで、関連商材の出展が多く見られた。
とはいえ、夏の冷え対策市場については、冬場に比べてさほど拡大していないのが現状だ。特に店販ルートでの棚作りなどは遅れを取っている。山口氏も流通・小売関係者が消費者のニーズを十分把握していないのではないか、と指摘している。
そこで今後は、夏場の冷え対策の意義や免疫との関連、美容・ダイエットとの関係などについて、さらなる啓発が必要だ。関連商材に対する消費者ニーズが顕在化すれば、流通のインフラも整備され、季節商材ではなく、通年商材としてのステップアップも見えてくる。




健康産業新聞1482号(2013.5.8)より一部抜粋

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